井上尚弥戦の期待高まる中谷潤人 師とのLAキャンプで「次戦は拓真選手以上の内容で勝ちたい」 (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 日本時間9月3日の井上尚弥vs.TJ・ドヘニー戦も、アラムの計いでアメリカ国内では『ESPN』のケーブルチャンネルで生配信された。とはいえ、番組が始まったのはトップランク社があるアメリカ西部時間の火曜日、午前2時45分。東部時刻では5時45分と、熱狂的なボクシングファンでも観戦するのが難しい早朝であった。

 井上がドヘニーを7ラウンド16秒で下し、花道を引き上げて行く様を映しながら、『ESPN』は今後の対戦候補として中谷の名を挙げた。画面左右にベルトを肩から下げた両選手の写真を用いて、年齢、身長、こなした世界タイトルマッチの数、制覇した階級数、スタンスを報じている。近い将来、彼らが戦うことは必須と受け取れる比較だった。アラムの胸の内を見る思いがした。

【井上尚弥のドヘニー戦分析と次戦への意気込み】

 中谷は10月14日に組まれたWBCバンタム級タイトル2度目の防衛戦に向け、LAでキャンプ中のため同中継のライブ観戦はせず、トレーニングを終えた空き時間にオンデマンドで目にした。以下がその感想だ。

「井上選手が序盤からプレスをかけて試合を作っていきましたね。ドヘニー選手は下がらされる状況が続き、徐々に疲弊していくのが見て取れました。チャレンジャーもいろいろと工夫して井上選手を惑わせる動きをしていましたし、パンチを当てたシーンもありました。ですが、ダメージが溜まっていたでしょうから、最後に動けなくなったのは仕方ないかなと。ドヘニー選手も頑張りましたが、あの内容では勝利には結びつかないとも感じました」

 自身と井上尚弥戦を望む声には、こう語った。

「井上尚弥選手との試合に関する期待度は感じますが、まずはひとつひとつ、自分(の強さ)を証明しなければいけないと考えています」

 中谷の次戦の相手、タサーナ・サラパットの戦績は76勝(53KO)1敗。2018年12月30日のWBCバンタム級暫定王座決定戦で、井上尚弥の実弟であり、現WBAバンタム級王者である拓真に判定負けしたのが唯一の黒星だ。

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