井上尚弥はスーパーバンタム級で誰と闘うのか。「悪童」との因縁マッチ、「最大の難敵」とのドリームマッチの可能性は? (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【2位】ムロジョン・"MJ"・アフマダリエフ(ウズベキスタン/28歳/11戦全勝・8KO)

WBAスーパー、IBF世界スーパーバンタム級王者

 同階級の統一王者としてはフルトンのほうが注目度は高いが、現実的な意味で井上の標的になりそうなのはアフマダリエフだ。

 ウズベキスタンの元トップアマで、ダイナミックな実力派。米国内にファンベースを持たず、所属するマッチルーム/DAZNはフルトンが所属するプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)よりもグローバルな方向性なだけに、日本での井上戦挙行も問題ないはずである。

 アフマダリエフは今年6月のロニー・リオス(アメリカ)とのWBA指名戦で右拳を骨折し、しばらく休養していた。復帰後はIBFからタパレスの指名戦を義務づけられており、現地時間12月20日に興行権入札が予定されている。現状では来春までにタパレスとの指名戦をこなし、来年半ば頃に井上の挑戦を受ける、という流れが最も可能性が高そうだ。

 フルトンほど大きな注目を浴びることはないにしても、強打のサウスポーであるアフマダリエフと井上の対戦は好ファイトが予想できる。井上が苦戦しても不思議はないが、一方で、スーパーフライ級への昇級時に井上がオマール・ナルバエス(アルゼンチン)を2ラウンドで斬って落としたような、鮮烈な戴冠劇の再現も期待したくなる。

【1位】スティーブン・フルトン(アメリカ/28歳/21戦全勝・8KO)

WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者

 スーパーバンタム級で最高の評価を受ける黒人王者は、スピード、スキル、スタミナなど、パワー以外のほぼすべてを備えた万能派だ。今年6月、日本でもおなじみのダニエル・ローマン(アメリカ)に完勝した頃から評価が高まり、一部の関係者は井上vsフルトン戦を「軽量級のドリームファイトだ」と呼んで憚らない。

 同一体重と仮定した場合の戦力は、井上に大きく分があるだろう。それでもフルトンが井上の"最大の難敵"と目されている理由は、もともとの体格差にある。

 ライトフライ級でスタートした井上と、スーパーバンタム級でプロデビューし、さらに上の階級に上がっていこうとするフルトンでは骨格、体の厚みに大きな違いがある。ひと回り大きなフルトンが井上のパワーに耐え、後半勝負になった場合、試合はもつれる可能性が出てくる。

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