2代目タイガーマスクが長州力との対戦前に、ジャイアント馬場から授かった「サソリ固め封じ」のまさかの結末 (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • 山内猛●撮影 photo by Yamauchi Takeshi

サソリ固め封じは成功した?

――馬場さんが直々に指導することは珍しいですね。

「そう。だから俺も鮮明に覚えているんです。そのサソリ固め封じは、いい返し方でしたよ。文章だとイメージが伝わりにくいかもしれませんが、サソリ固めに入られたら両腕でプッシュアップをして、頭を体の内側に入れてクルンと回転するというもの。この秘密なはずの一連の動きが、ご丁寧に連続写真で載っていました(笑)」

――そのサソリ固め封じは、試合でも披露されたんですか?

「確か、2度トライしていますね。1回目はうまく返したんですが......2回目はプッシュアップして頭を内側に入れようとした瞬間に、長州さんが腰をグイッと落として押し潰されちゃったんです。その時、2代目タイガーの首が変なふうに曲がってしまって。そして最後はリキラリアットに散りました」

――サソリ固め封じを、逆に封じられてしまったんですね。

「俺は『せっかくサソリ固めの攻略法を見つけたのに、残念やな』と思って、試合後に馬場さんが指導した記事を見返してみたんです。そしたら気がついたんですよ。あのサソリ固め封じは、馬場さん相手だからこそ有効であるということに。

 身長2m9cmの馬場さんがサソリ固めに入ると、腰の位置が高い。だから頭を内側に入れやすいんです。だけど、長州さんは馬場さんより身長が20cmも低いから、当然腰の位置も低くて決めにくい......。そうして攻略法が実らなかった2代目タイガーを見て、『時間をかけて培った努力も、あっけなく崩れ去ることがあるんやな』と、人生の厳しさを教えられました」

(後編:長州力は2代目タイガーにキレていた?若き三沢光晴が見せた天才の片鱗>>)

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