どうなる、井上尚弥の次戦の行方。早くて夏前の実施、日本開催の声も (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 ただ、またスポーツ興行を開催できる環境が整った時、「ボクシングは他の競技よりも早い時期に興行ができるのではないか」という楽観的な見方もある。その理由は、前述どおり、ボクシングが団体スポーツよりも少ない人数で挙行できること。さらに、テレビ局と動画配信サービスのサポートを受けたボクシングイベントは、無観客でも十分に興行が成り立つという背景も大きい。

『ESPN』、『FOX&Showtime』、『DAZN』と独占契約を結んでいる、トップランク社、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ、マッチルーム・ボクシングの興行は、もともとテレビマネーがメインの収入源になっている。サウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)、アンソニー・ジョシュア(イギリス)の試合のように多くの観客動員を見込める一部の例外を除き、ゲート収入(会場入場料)はビジネスを左右するものではない。

 放送枠と放映権料をプロモーターに保証するテレビ局にはゲート収入が分配されないため、観客の有りなしは基本的に無関係。あとはプロモーター側が無観客による減収を覚悟すれば、興行再開が見えてくる。なんとかコンテンツを確保し、加入者の激減を避けたいテレビ局にとっても、他のスポーツに先駆けたボクシング興行の開催は大歓迎だろう。

「ゲート収入も大事だが、テレビで放送される興行を打つことはもっと大事。私たちは多くのことに目をやっています」
 
 米スポーツ雑誌『SI.com』のレポート内に記されたボブ・アラムの言葉は、依然として無観客での試合が考慮されていることを示している。その記事内では、試合を行なう会場の候補として、ラスベガスのトップランク・ジム、ニューヨークのハマースタイン・ボールルーム、パラマウントといった小会場が挙げられていた。

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