2019.09.10

東京五輪で金メダルの可能性大。
空手「形」男女のエースが圧巻の優勝

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 異例の再試合で清水が選んだのは、公式戦で演じるのが3度目という「オヤドマリノパッサイ」。「今年に入って一番何も考えず、無心に技に集中した」と鬼気迫る形を演じた清水が、1度目よりも高得点の27.74点をマーク。サンチェスを0.26点上回って2大会ぶりに制覇した。

 それでも、清水に満足した様子はない。演武後には、「たくさんの人に応援に来てもらっているので、勝ててほっとしている」と言いつつも、「勝った気はしてない」と繰り返した。特設で組まれた決勝の畳の反発力にうまく対応できなかったこと、それによって演武全体のバランスを乱してしまったこと......。「いろんなところの体の使い方がなってない」と課題ばかりを口にした。

「ここから1年間、たぶんサンドラと勝ったり負けたりを繰り返すんだな」。清水はしみじみとつぶやいた。25歳の清水と、ひと回り年上になる37歳のサンチェス。2人のライバル物語は、東京五輪でどんな結末を見せるのか。

 女子は清水とサンチェスの2強だが、男子は世界選手権3連覇中の喜友名諒(きゆな・りょう/劉衛流龍鳳会)の"無双状態"が続いている。オリンピック・スタンディングも他の追随を許さない独走の1位。このプレミアリーグ東京大会も当然のように優勝した。

 過去にプレミアリーグで優勝経験もある実力者、新馬場一世(しんばば・いっせい/西濃運輸)との日本人対決となった決勝では、自身が修練を積む劉衛流(りゅうえいりゅう)の「オーハン大」を演じて28.38点と圧巻の高得点。1.36点の大差をつけての快勝だったのに加え、この大会で28点以上を出したのは喜友名だけという圧倒的な力を見せつけた。

 これで、国際大会は昨年の6月から12戦負けなし。荒々しさすら感じさせる、力強い技の中にある正確さと繊細さ、筋骨隆々の体だからこそ表現できるダイナミックさは見る者の度肝を抜く迫力がある。そんな喜友名を、「東京五輪の全競技の中で金メダルにもっとも近い男」「五輪に出場すれば金メダルはほぼ確実」と称する声も多い。

 オーハン大は今年から国際大会で使えるようになった技であり、まだ磨いている最中だ。喜友名も「どこまで伸びていくか、自分でも楽しみ。もっともっと上げていきたい」と話すように、まだ技の限界は見えていない。

 敵なしの喜友名が目指すのは「強い空手」であり「相手がいなくても、相手が見えるような形」である。東京五輪までにどう進化して、どこまで強くなるか。"東京五輪金メダル確実男"から、今後も目が離せない。

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