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井上尚弥がパッキャオなみの
「世界的スター」になるために必要なもの (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Reuters/AFLO

 最後に、「井上がスターになるために具体的にやるべきことは?」という問いに対する3人の識者の答えを紹介したい。ギボンス、マリナッジ、そして、リングマガジンのフィリピン系アメリカ人記者であるライアン・サンガリアの言葉からは、井上への評価の高さと期待の大きさが伝わってくる。

「知名度を上げる最善の道は、地上波の『FOX』のような視聴者の多いプラットフォームで露出することだ。井上がどんな選手かを知り、一度でも試合を見れば、誰もが『また見たい』と思うことは間違いない。タイソンのようなパンチャーなのだから、アメリカでの需要は確実にある。私はこの業界に30年もいるが、世界レベルの選手をあんなふうに倒してしまう選手にはほとんどお目にかかっていない。彼に必要なのは適切なプラットフォームだ」(ギボンス)

「重要なのはアメリカに拠点を置いてキャリアを進めること。英語を学び、公の場で話すことも大事になるかもしれない。ボクシングの能力に関しては、現時点ですでに文句のつけようがない。井上はすでにすばらしいよ」(マリナッジ)

「一部で噂が流れたように、トップランク社との契約はいいアイデアだ。トップランク社は外国籍の選手を導き、アメリカでスターに育てるうまさには定評がある。そのうえで、大切なのはその時々で最高の相手と戦い続けること。バンタム級の強豪をすべて倒し、そのあとにスーパーバンタム級に階級を上げるべきだ。

 WBA、IBF世界スーパーバンタム級王者のダニエル・ローマン(アメリカ)はスタイル的に噛み合いそうだし、同級のWBO王者エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)との対戦も面白い。軽量級選手が世間の興味を引きつけるのは簡単ではないが、それを成し遂げる選手がいるとすれば井上くらいだ。ゴロフキンがその倒しっぷりでアメリカのファンを魅了したのと同じように、爆発的な人気を得ることは可能だろう」(サンガリア)

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