2019.01.22

非エリートボクサー高橋竜平、王者に完敗。
それでも絞り出す希望の言葉

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

「こんな大舞台に僕なんかを出場させていただいて、もっと盛り上がる試合を見せたかった。自分のボクシングを表現したかった。ちょっと悔いの残る試合です……」

 現地時間の1月18日。ニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデン(MSG)・シアターで行なわれたIBF世界スーパーバンタム級タイトル戦を終え、高橋竜平(横浜光ボクシングジム)は反省の言葉を繰り返した。

直前に決定した世界戦でTKO負けを喫した高橋 
 メインアリーナではなく小ぶりな「シアター」での試合とはいえ、伝統の会場で日本人ボクサーが初めて臨んだ世界タイトル戦。高橋本人の言葉どおり、残念ながら、王者テレンス・ジョン・ドヘニーとの戦いはファンを喜ばせるエキサイティングな内容にはならなかった。

 ドヘニーは序盤から中間距離を制圧し、スムーズなパンチを繰り出していく。第3ラウンド、高橋はバランスを崩したところに左フックを浴びてダウン。王者はこれで完全にペースを掴み、以降も余裕を持ってラウンドを重ねていった。

「ドヘニーは距離が遠くて、パンチがあった。カウンターを打たれて、(相手の距離を)つぶしにいけなかった。ほんとに完敗でしたね」 

 高橋が中盤以降に決意を固めて距離を詰めても、ドヘニーの左ストレート、右フックがカウンターで飛んできた。王者が得意とする左アッパーも冴えわたり、挑戦者はダメージを溜め込んでいく。この日まで16勝(3敗)中、KOは6のみというパワー不足もあって、流れを変える糸口は掴めなかった。

 一方的な展開のまま、11ラウンドに高橋が連打を浴びたところでレフェリーがストップ。ワンサイドゲームの末、11回2分18秒でドヘニーがTKO防衛に成功した。ストップのタイミングは唐突にも感じられたが、蓄積したダメージを考えれば正しい判断だったのだろう。試合終了の瞬間、MSGシアターの観客席からも不満めいた声がほとんど出なかったことがそれを証明している。

 今回は高橋にとって、極めて厳しい条件で行なわれた世界初挑戦だったことは述べておくべきだろう。オファー自体は昨年12月1日に受けていたとはいえ、正式決定したのは約1週間前という”急造タイトル戦”。2月9日にアメリカ西海岸で想定していた試合が前倒しになったとあれば、十分な調整、対策ができなかったとしても仕方ない。そんな状況でもしっかりと体重を作り、後半まであきらめずに手を出し続けたことは評価されていい。