【国際プロレス伝】白パンツが似合う寺西勇は、元力士のテクニシャン (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 1本目は寺西が34分52秒、片エビ固めを極(き)めて先制する。だが、2本目は井上が得意のストマック・ブロックを連発し、フィニッシュはお返しとばかりに片エビ固めで3分22秒で奪取。そして、タイとなった勝負の3本目は、両者譲らずに時間切れとなった。

 すると、テレビ中継の解説のために放送席にいた吉原社長に、井上と寺西が必死に延長を訴える。結果、10分間の延長戦が行なわれたが、またしても時間切れ引き分け。さらに10分間の延長戦が行なわれることとなった。

 そして最後は、寺西が回転エビ固めを極めたかと思われた。しかし井上が切り返し、7分7秒に寺西から3カウントをもぎ取り勝利。大接戦はこうして幕が下ろされた。

 62分間に及ぶ壮絶な戦いを終えた井上と寺西は、手を取り合って両腕を上げる。互いに称え合う姿に場内からは大歓声が送られ、いつまでも拍手は鳴りやまなかった。今もプロレスファンの間で語り継がれている名勝負だ。

 当時、アメリカ遠征中だったアニマル浜口は、この一戦を観戦していない。だが、後にビデオで観て、「感動した」と言う。

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