村田諒太らチャンプが輩出。京都廣学館ボクシング部が育む「拳の哲学」 (7ページ目)

  • 内田暁●取材・文・撮影 text by Uchida Akatsuki

今も継承され続けている「武元イズム」今も継承され続けている「武元イズム」 そう語る西嶋先生の携帯電話が静かに鳴る。「すみません」と会釈し、電話に出た先生は、受話器の向こうへ懐かしそうな声をあげた。電話をかけてきたのは卒業生で、その内容は、きたる先輩たちのタイトルマッチについての相談だった。卒業生の試合を部員や元部員たちで観に行くことも多く、村田諒太らの後援会も元部員がやっているという。

 それら教え子たちとボクシングを通じてつながっていることが、西嶋先生は何よりうれしいと言いたげな笑みを浮かべる。

「『人間の能力は生まれつきではなく、努力で作られる』というのが、うちの学校の理念なんです」

 今後も京都廣学館高校からは、新たな世界王者が生まれていくのかもしれない。ただ彼らは、単に優れたボクサーというだけではないだろう。ボクシング部に脈々と受け継がれる理念と意志が生む、「社会で活躍できる人間」の一形態のはずだ。

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