村田諒太らチャンプが輩出。京都廣学館ボクシング部が育む「拳の哲学」

  • 内田暁●取材・文・撮影 text by Uchida Akatsuki

シリーズ・部活の現場に行ってみた!(6)
世界チャンピオンが輩出する京都廣学館ボクシング部

 小さな窓から差し込む真夏の日差しが、若者たちの肌から立ちあがる汗とホコリを、白くチラチラと浮かび上がらせた。

京都廣学館ボクシング部の練習風景京都廣学館ボクシング部の練習風景 "初心者"たちは鏡の前で「シッ、シッ」と短く息を吐き出しながら、拳の突き出す自分の姿に目を凝らす。リング脇ではサンドバッグを叩く乾いた音が響き、リングの上では複数の"中~上級者"たちが細かいステップを踏みながら、スパーリングパートナーへと拳を飛ばした。

「とても立派なジムですね」と漏らすこちらの驚きの声に、「これだけ立派なジムは、市内でもあまりないと思いますよ」と、別段誇るふうでもなく監督の西嶋努先生が応じる。

 京都廣学館(こうがっかん)高等学校は、その前身を男子校の南京都高等学校と言い、共学になった4年前から現在の学校名へと改名した。その意味では廣学館としての歴史は浅いが、南京都高校......略して「南京高」と言えば、高校ボクシング界では知らぬ人のいないほどに名の通った名門だ。卒業生には、ロンドン五輪ミドル級金メダリストにして、先日のタイトルマッチにて日本人ふたり目のミドル級世界王者となった村田諒太(WBA世界ミドル級)や、山中慎介(元WBC世界バンタム級)に久保隼(元WBA世界スーパーバンタム級)ら世界チャンピオンたちが名を連ねる。

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