井上尚弥でさらに大注目。米国リングで日本人ボクサーの評価が急上昇 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • 山口裕朗/アフロ●撮影 photo by AFLO

 筆者の知る限り、日本人ボクサーたちがアメリカのテレビ局からこれほどまでに注目されたことは過去にはない。その理由はいったいどこにあるのか。

 HBOに関しては、まず同局のボクシング予算の縮小が影響していることは記しておきたい。親会社であるタイムワーナーがAT&Tに買収される話が進んでいるため、HBOスポーツ部の先行きも不透明。それゆえに、今年度に限っては、ボクシング中継に多くの予算を費やすことが難しくなった。

 中量級以上と比べると、軽量級はやはりファイトマネーの相場も下がり、先日の井上の報酬は約19万ドル(約2090万円)。8月26日にスーパースターのミゲール・コット(プエルトリコ)を相手にタイトルを争った亀海、7月にWBC世界スーパーフェザー級王者のミゲール・ベルチェル(メキシコ)に挑んだ三浦のファイトマネーも、ほぼ同額だった。

 一方で、7月29日に『Showtime』で放送されたスーパーライト級のエイドリアン・ブローナー(アメリカ)vsマイキー・ガルシア(アメリカ)戦では両選手に100万ドル(約1億1000万円)前後の高報酬が与えられている。このように現状では、米国系選手に比べてアメリカ国内で知名度の低い日本人選手の試合中継は安価で済む。それゆえ、予算の締めつけが厳しいテレビ局にとって"オイシイ存在"なのだろう。

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