パンチで爆発音がする井上尚弥。ロマゴンの沈没で、次なる標的は誰だ? (5ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AFLO

 スーパーフライ級に残るとすれば、シーサケットとの統一戦がクローズアップされるのが自然の成りゆきだろう。井上が挑む"ロマゴンの敵討ち戦"として、そのファイトには日米両方で希求はある。しかし、試合後の記者会見でシーサケットの印象を尋ねても、井上は初のKO負けを喫したばかりのライバルから気持ちを切り離せていない様子だった。

「(ゴンサレスは)シーサケットの土俵で戦っていた。パワーでちょっと押されている感じがあって、スーパーフライ級で身体、体力面できついのかなという印象はありました」
 
 たしかに"ゴンサレスがダメならシーサケット"などと、そう簡単に気持ちを切り替えられるものではないだろう。また、勝ったとはいえゴンサレスに比べれば世界的な知名度が低いタイ人と戦っても、ビッグイベントにはならない。もともと、井上にとってスーパーフライ級の減量は容易ではないだけに、ゴンサレス戦という目標が消滅した今、早々にバンタム級への昇級を決意することも十分に考えられる。

 ともあれ、井上にとって9月9日が重要な1日であったことは間違いない。高い評価を得られる戦いぶりで、米国デビューをクリアした"モンスター"の進む道はどこに続いているのか。現時点ではっきり言えるのは、井上の動向を楽しみにしているのは、もう日本のファンのみではないということだけである。

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