【ボクシング】スーパーバンタムで復活ののろし。長谷川穂積「俺がボクシングを続けるワケ」 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 作田祥一●撮影 photo by Sakuta Shoichi

――想定するビッグマッチ。その中に、ドネアの名前もありますか?

長谷川 まず、そこまで上がらなきゃいけないですけどね。

――ドネアとやりたい?

長谷川 やりたいですね。そう言えるためにも、チャンピオンにならなきゃダメです。ボクシングをするということはイコール、トップを狙うということですから。

――ドネア対西岡戦。ビデオで数十回、見ているそうですね。

長谷川 ドネアが強すぎましたね。でも、あの試合を行なうこと自体、すごいこと。西岡さんは、若い選手に希望を与えてるなと思います。ただ……。

――ただ?

長谷川 あれが西岡さんじゃなかったら、世間一般も、もっと盛り上がったんじゃないかなって思うところが正直あります。もったいないですね。ええことしてる、あれだけすごいことしてる。でも世間は盛り上がらない。ボクシングファン以外は誰も知らない。結局、ほとんどの人間が偉業を知らないまま引退してもうたからね。もったいない。

――ボクシングの認知度を変えたい?

長谷川 自分が変えられるかどうかは分からないです。でも、あんだけすごいことを誰かがやっても盛り上がらない。じゃあ、俺がやってやろうとは思いますね。

――逆境や挫折、倒れても何度でも立ち上がる強さ。多くのファンが、長谷川穂積の背中を見つめていると思います。

長谷川 いや、強くはないですね。

――自分は特別ではない?

長谷川 そうですね。みんな、そうですよ。誰だって大変。俺がそんなにすごい人生やな、とは思わないです。みんなそうじゃないですか、野球選手もサッカー選手も。スポーツ選手だけじゃない。誰だって戦ってる。戦い続けたら、今、ここにいたってことだと思うんです。何度かですが被災地にも行かせていただき、多くの人に会いました。職種がどうこうじゃない。みんなが、「その場所」で頑張ってる。そういうことだと思います。俺は、好きなことをやってるだけなんで。好きなことを見つけたということだけで、強いと思わないです。

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