【女子バレー】荒木絵里香があらためてアジア選手権を総括 日本女子にとって「全員が弱さや課題と向き合う機会になった」 (3ページ目)
【前を向いて進むしかない】
――日本も守備力を生かしてボールを拾えていたと思いますが、攻撃時のミスが目立った印象です。
「タイ戦は自分たちのミスなどによる直接失点が28でしたね(※タイは14)。相手からすれば"何もしなくても得点が入る状態"ですし、精神的にも負担なく戦えていた要因になったと感じます。日本としては絶対にやってはいけなかった。せっかくいいプレーが出たのに、次のプレーで失点をしてしまうケースがありました。自分たちでつかみかけた流れを手放すことを繰り返していましたね」
――直接失点に関してはメンタル面か、プレーのクオリティか、どのように克服していく必要がありますか?
「どちらも必要ですかね。できないことができなかった、というわけではなく、本来はできるはずなのに大事な場面でできなかった。もちろん個々がスキルを磨くことは大前提です。その先の部分で、チームとしての組織力など、もう一段階強くなる必要性を選手みんなが感じたはず。苦しんだからこそ、全員が弱さや課題と向き合う機会になったと思うので、『この経験をしてよかった』と言えるように成長してくれると信じています」
――結果的に3位決定戦を制して、銅メダルを手にしました。大会を終えた直後の日本チームをどう見ていましたか?
「自分が現役だった頃の気持ちを思い出しました。オリンピック出場を懸けた戦いは本当に苦しいですし、戦っている時は怖さや不安に駆られたものです。大会前の報道などを見て、今の日本代表のメンバーが本気で目標に向かっていることを感じていました。大会中は、ただただ『頑張って!』と応援する気持ちでしたし、タイに負けた時は現役時代に味わった悔しい気持ちもフラッシュバックしました」
――大会後の記者会見では、フェルハト・アクバシュ監督や石川真佑キャプテンから「申し訳ない」という言葉が聞かれ、世間の反応もさまざまでした。荒木さん自身も日本代表で主力やキャプテンを務めていた当時は、そうした思いを抱いたことがありましたか?
「チームのスタッフ、選手たちの気持ちはとてもわかります。私自身、何度も『申し訳ない』という気持ちになりました。結果を出せなかった不甲斐なさや申し訳なさといった感情は、おそらく選手なら誰もが抱くものでしょう。
ですが、もう前を向いて進むしかありません。2028年のロサンゼルス五輪というターゲットは決まっているわけですから、これからそこにどう向かっていくかにフォーカスしてもらいたいと思います」
(後編:荒木絵里香が「すごさ」を感じる、石川真佑がトルコリーグ移籍を決めた理由 新天地で戦う選手たちへの期待も語った>>)
【プロフィール】
荒木絵里香(あらき・えりか)
1984年8月3日生まれ、岡山県倉敷市出身。身長186cmのミドルブロッカーとして長年にわたり日本代表を支え、4度のオリンピック出場を果たした。
成徳学園高校(現・下北沢成徳)で高校三冠を達成。2003年に東レアローズに入団。2006年頃から日本代表でレギュラーを獲得し、2008年北京五輪に初出場。2012年ロンドン五輪では、主将として日本女子28年ぶりの銅メダル獲得に貢献した。出産後に現役復帰を果たし、2021年東京五輪まで第一線で活躍。引退後はトヨタ車体クインシーズ(現・アリーザ愛知)のスタッフとしてチーム運営に携わり、現在はSVリーグ、日本バレーボール協会の理事も務める。
著者プロフィール
坂口功将 (さかぐち・こうすけ)
1988年生まれ。兵庫県出身。関西学院大学時代に「スポーツを
取材する」ことの虜になり、不動産会社を経て2016年春から日 本文化出版(株)「月刊バレーボール」編集部で勤務。 2023年末に独立し、バレーボールを中心に取材・ 執筆活動を行なう。小学生から大学生、国内外のクラブリーグにナシ ョナルチームと幅広いカテゴリーを扱うほか、 バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説 も務める。
【写真】元バレーボール日本代表・木村沙織インタビューカット集
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