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【女子バレー】SAGA久光・中田久美監督の新章が始まった「佐賀から世界へ」リーグ優勝はゴールではない (2ページ目)

  • 坂口功将●取材・文 text by Kosuke Sakaguchi

【うしろに飛んだボールは任せた】

 シーズン終盤を迎えるなかで際立ったのは、苦境をはね返す、まさに「勝負強さ」だった。

 PFUブルーキャッツ石川かほくとのセミファイナルではGAME1を1-3で落としたものの、GAME2はシーソーゲームのフルセットを制して勝敗をタイに。運命のGAME3は2セットダウンの窮地から逆転勝利を収めて、ファイナルの切符をもぎ取ってみせた。

 さらにファイナルのGAME1でも、先に2セットを奪いながら相手の反撃に見舞われ、なんと3戦連続のフルセットとなったが、それでも最終第5セットを制した。

 そこから一転、GAME2はストレート勝ち。大阪MVにこれまで見られたような粘りや巧みさが欠けていたのは確かだが、それ以上にSAGA久光のブロックディフェンスが機能した。ブロックシャットだけでなくワンタッチを取るなど相手に決定機を許さず、さらに後衛ではリベロの西村弥菜美を中心としたフロアディフェンスを敷き、ボールを落とさなかった。

 それは数字の上でもはっきりと表れた。大阪MVのアタック決定率は、GAME1が39.8%(181本中72本)に対して、GAME2では33.8%(130本中44本)。ブロックとレシーブの関係性を構築した証(あかし)だった。

 そこにあったのは、選手同士の意思疎通。ミドルブロッカーの平山詩嫣は「GAME1ではブロックで迷ってしまう部分がありました。ですが、レシーブ陣を信じる気持ちで『うしろに飛んだボールは任せた』と信用していました」と言う。

 またファイナルに限らず、試合においては相手にセットを奪われること、さらにはひとつのセットのなかでもリードを許すほか、相手に流れが渡りそうになるシチュエーションは何度もあった。だが、そこでこそ真価は発揮された。中田監督の言葉。

「決して下を向くのではなく、自分たちで解決策を見つけていくように率先してコミュニケーションをとっていました。言葉数も多かったですし、選手たちからは『自分たちでなんとかしよう』という思いがとても感じられました。

 もちろんスタッフから指示を出すこともありましたが、やるのは選手たち、ですから。私たちスタッフができることは限られているので、そのなかでもしっかりと話し合ってプレーする姿が印象的でした」

 それはまさに、選手たちに中田監督が求める「勝負強さ」が宿っていたことを意味していた。

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