髙橋藍が敗北のあとに見せた「反撃力」 強豪ポーランド戦で真価を発揮できるか (2ページ目)
【アメリカ戦で見せた「反転攻勢」】
ブラジルに敗れたあとの予選ラウンド最後のアメリカ戦で、日本は3-0とストレートで勝利し、見事に決勝ラウンド進出を決めている。少なくとも2セット以上を取る必要があった。重圧を感じるゲームだった。
だが乾坤一擲、髙橋はひと際輝いた。両チーム最多の18得点を記録。相手ブロックにしつこくつかれても、空中でコースを見極め、ブロックアウトを狙い、半身で打ち、両手でプッシュし、相手を手玉に取っていた。一方でバックアタックは豪快そのもので、自慢のディフェンス力の高さも見せ、まさに勝利のヒーローだった。
反転攻勢の光景は、これまでの髙橋の取材風景で既視感があるものだったと言える。敗北のあと、彼は驚くほどの"反撃力"を見せるのだ。
直近ではSVリーグ、チャンピオンシップのセミファイナル、サントリーサンバーズ大阪の選手として、ウルフドッグス名古屋との1試合目、2-0としながら2-3と逆転で敗れた試合だった。髙橋は自らの不甲斐なさに怒っていた。そして2試合目、3試合目と連勝したが、神がかった活躍ぶりだった。65.4%という驚異的なアタック決定率を誇ったのだ。
決勝進出が決まったあと、髙橋はこう振り返っていた。
「準決勝は通過点というか、"ここでベストパフォーマンスを出せないと意味がない"と思っていたので。その点、1戦目はそれが出しきれなかったところもあって、(怒ったように見えた瞬間は)このままでは終われないって思っていました。自分自身に怒って、鼓舞して、奮闘させることができました」
怒りをエネルギーに転換できることこそ、勝負における彼の異能だろう。
――勝負にこだわりながら、切迫した空気を楽しんでいるようにも映ります。
今年3月のインタビューで、彼にそう訊ねたことがあった。
髙橋は明朗な口調で答えていた。
「そうですね。勝負(の面白さ)がなければ、ここまでバレーボールやっていない(笑)。ここまで楽しんでやることもないと思います。勝ち負けがあるからこそ、悔しさもうれしさもあって、"楽しんでやる"につながる。勝つ瞬間のために、頑張っているので」
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