髙橋藍「金メダルをイメージするために...」 ネーションズリーグで見せた「負けず嫌い」の真骨頂

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「負けず嫌い」

 それは、彼のアイデンティティと言えるだろう。誰にも負けたくない。だからこそ、死力を尽くせる。何が足りないのか? そこに全力で向きあい、勝つ算段も整える。

 バレーボールのコートおいて、その本性は一番強く発現する。

 髙橋藍は、「FIVBバレーボールネーションズリーグ2024」福岡ラウンドでも八面六臂の活躍だった。

ネーションズリーグ福岡ラウンドで日本代表に合流、期待どおりの活躍を見せた髙橋藍photo by Noto Sunao(a presto)ネーションズリーグ福岡ラウンドで日本代表に合流、期待どおりの活躍を見せた髙橋藍photo by Noto Sunao(a presto)この記事に関連する写真を見る たとえばフルセットとなったドイツ戦、2セット目にはブロックアウトしかけたところ、必死に頭から飛び込んで右腕一本で上げ、石川祐希のスパイクにつなげた。3セット目には西田有志が客席に飛び込みそうになりながらつないだボールを、関田誠大のオープントスから自らスパイクを決めている。4セット目には小野寺大志との2枚ブロックでシャットアウト。5セット目、高く上がったボールは返すだけで精一杯に見えたが、敏捷な動きから抜け目なく相手コートに流し込んだ。

 オールラウンドな能力を遺憾なく発揮し、接戦を制する一翼を担った。

 髙橋は容姿端麗でスターの輝きがある選手だが、奢ったところがない。すべては勝利のため、黒子に徹することもできる。勝負への執念は苛烈だが、極めているだけに透明感すらある。

「オリンピックで勝つために、しっかりとチーム力を高める必要があると思います。世界大会で、レベルの高いバレーを見せられるようにしないと」

 髙橋はネーションズリーグを戦うなかで、そう語っている。勝利の確率を上げるには、「爆発的な攻撃力があるなか、自分は無理してスパイクを打たない」と、自らを抑制するほど、フォア・ザ・チームだった。裏を返せば、石川や西田への信頼とも言える。

 もっとも、髙橋自身が"託される選手"であることも事実だ。

「イタリアでプレーし、世界のトップ選手を相手にスパイクを打ち続けることで、攻撃のバリエーションは多くなりましたね。久しぶりに日本代表として国際試合をやってみて、イタリアで常にやっていたことの成長を見せられたかな、とは思います」

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