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日本バレーが28年ぶりの4位と躍進。
2つの武器が好調の要因だった

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by Karaya Masaki
  • photo by Kyodo News

【世界を驚かせたサーブ力】

 西田有志(ジェイテクトSTINGS)が強烈なサーブで次々と得点を奪っていく。

 バレーボール男子のワールドカップ(W杯)最終戦。日本とカナダのフルセットにもつれた戦いは、9-9から西田が5本のサービスエースを含む6連続得点を挙げ、劇的に大会を締めくくった。

「苦しいときにサーブで攻めるのが自分の役目だと思っていた。サーブは個人技。ベストのモーションで打ち切って点数を取れたら、という単純な考えでやれた」

 今大会の日本の戦いぶりを象徴する幕切れのシーンを、西田はこう振り返った。

W杯最終戦でカナダに勝利した日本W杯最終戦でカナダに勝利した日本 8勝3敗。1991年大会以来、28年ぶりの4位に入った。日本男子がW杯史上で8勝を挙げたのは初めてのことだ。今大会は、前回大会までのように五輪出場権がかかっていなかったことや、欧州選手権の直後に行なわれたこともあって、ベストメンバーでなかった海外チームもあった。とはいえ、それらを差し引いても一定の評価は与えていいだろう。

 日本の好調を支えた最大の要因はサーブ力だ。ベストサーバー部門で、世界の名だたるエースを抑えて断トツのトップだった西田をはじめ、石川祐希(パドバ)、高橋健太郎(東レ・アローズ)、関田誠大(堺ブレイザーズ)らが力強いジャンプサーブで攻め立てた。

 さらに、小野寺太志(JTサンダーズ)は複数のサーブを使い分けたうえに取りづらい球質で相手を崩し、今大会は出場機会が限定された柳田将洋(ユナイテッド・バレーズ)のジャンプサーブも世界から恐れられる威力があった。サーブが得意ではない福澤達哉(パナソニック・パンサーズ→パリ・バレー)は、バックアタックに入る選手の前に落として体勢を崩し、攻撃の選択肢を狭めるサーブを打てていた。

 サーブの力が如実に表れたのが、10月10日のロシア戦。第1セットで0-5と走られ、中垣内祐一監督ですら「セットを取られたと決めてかかるぐらいだった」。だが、選手たちには心のよりどころがあった。石川が「僕たちのサーブをしっかり打てばブレイクできるチャンスはある。自信じゃないけど、そういう安心要素がひとつあったので、うまく戦えた」と振り返った通り、高橋や石川のサービスエースなどでブレイクポイントを奪い、15-14と中盤で逆転に成功。そこから競り合ったが、最後は西田のサービスエースで抜け出し、セットを奪って勝ちへの道筋をつけた。

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