錦織圭はベストなタイミングでマイケル・チャンをコーチに選んだ 杉山愛「ピッタリな指導者に出会えるのは本当に大事なこと」 (4ページ目)
【大事なものを嗅ぎ分ける力】
ここまでの話をうかがったうえで、あらためて杉山さんに問う。
錦織圭は、なぜ錦織圭になり得たのか──?
「うーん」と小さくつぶやき、少し考えてから「一番の要素は、やっぱり柔軟な考え方ではないかと思います」と、杉山さんは明言する。
「もちろんボールをとらえる能力はずば抜けていますし、神様からのギフトと言っていいのかわかりませんが、誰もがもらえるわけではない才能もたくさん持っていると思います。ただ、やっぱり最終的には、人の意見に耳を傾けること。そして大事なものを嗅ぎ分ける力。そこが本当に大事だと思いますね。
誰が信用できるかどうか見分けるのは、感覚的なところもあります。人間なので相性もありますしね。ただやっぱり、常に自分のことを見てくれているか、あるいは調子がいい時だけ寄ってくる人なのかというのは、ひとつの判断材料になるのかなと思います。特にツアーに出たら、本当にいろんな人がいる。日本人のみならず外国人もそうですし、そういうなかで自分にとって正しい人をチョイスできるかは、本当に大事なんですよね。
いくらすばらしい能力があっても、考え方が偏っていたり、人の縁に恵まれなかったりすると、道が途絶えてしまう。そう考えた時に大事になるのは、自分の哲学じゃないかなと思います。生き方や人生観が似た人と一緒に取り組んでいかないと、違う方向に行ってしまいかねない。
そういう意味で、まずは自分の哲学がしっかりしている。そして、その哲学に合う人かどうかを嗅ぎ分けられる能力が、圭の強みなのではと思います」
錦織が「柔軟な考え方」で構築した人々の輪のなかに、杉山愛さんもいた。
(つづく)
◆杉山愛の視点(4)>>
【profile】
杉山愛(すぎやま・あい)
1975年7月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。4歳でテニスを始め、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位となる。1992年にプロ転向。WTAツアーでシングルス6勝、ダブルス38勝を挙げ、世界ランキングはシングルス8位、ダブルス1位を記録。四大大会では女子ダブルスで3度、混合ダブルスで1度優勝。四大大会シングルスに62大会連続出場し、男女を通じた世界最高記録(当時)を樹立する。オリンピックには4大会連続(1996年、2000年、2004年、2008年)で出場した。2009年に現役を引退し、2023年度から国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ」日本代表監督に就任。身長163cm。
著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。
【写真】日本女子テニス「6人のティーンエイジャー」フォトギャラリー
4 / 4













