全豪のシード権も射程に。杉田祐一の「上昇気流」はどこまで続くのか (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text by Ko Hitoshi photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

"ツアーレベルでもやれる"という自信を得たことで、杉田のメンタルがさらに強くなり、ジャパンオープンを含めた最近の好結果につながっているように思える。

 杉田は松岡修造や錦織圭と違って、若い時に海外でテニスの武者修行をせずにプロの世界に飛び込み、11年という長い時間を要して今の地位を築いた、いわば"純国産プロテニスプレーヤー"だ。

 同じような過程で世界のトップ100に入って、グランドスラムの本戦出場を果たした日本男子選手は添田豪や伊藤竜馬らがいるが、さらにトップ50に入って、なおかつマスターズ1000大会を含めてコンスタントに結果を残し、ATPツアーに"定着"したプロテニスプレーヤーは、杉田が初めてとなる。

「ツアーの一員になれてきたのかなと感じる。いろんな選手と同じ大会を回るようになって、自分が成長できる環境にいるというのが嬉しい」

 そして、母国開催のジャパンオープンでの初のベスト8という結果に対しては、「自分にとって大きなターニングポイントになるような大会にしたい」と杉田は語り、勝ち星をさらに積み上げていくつもりだ。日本唯一のATP大会で、杉田が成長した姿を日本のファン、特に子供たちに直接見せることには大きな意味がある。その中から、杉田のあとに続くような未来のプロテニスプレーヤーが生まれるかもしれない。

「ここで終わるわけにはいかないですし、もっともっとレベルを上げて、日本で育つ選手に向けて、しっかり発信できる自分でいたいと思っている」

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