全米オープンで6勝、最高は3回戦。日本女子テニスは強くなったのか (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

この全米オープン1回戦の勝利が、グランドスラム初勝利となった日比野菜緒この全米オープン1回戦の勝利が、グランドスラム初勝利となった日比野菜緒「取り組んできたことが間違いでなかったことを、自分自身に証明できたので、すごくいい大会になった。やっぱりいかに自分のテニスに徹するのかが大事というのを言われて、ずっとやってきたんですけど、自分の中でしっかりはまったというか、これを続けていけば、大丈夫だと思えた」(日比野)

 日比野のツアーコーチである竹内映二氏は、日比野のプレーに変化と成長を見てとった。

「戦術で一番大事なのは、深い配球。それがうまくいくと、自分サイドにたっぷり時間がある。(2回戦で)ラリーが速くなって、相手につかまったんですけど、第2セットから深く配球することによって、(日比野に)構える時間ができて、頭脳を活かせる余裕ができた。

 誰だって勝ちたいじゃないですか。そんななかで、相手の雰囲気に押されたりする。自分のベストを尽くすことは誰も止められないわけですから、自分だけに焦点を当て、自分のプレーをその場で引き出せばいいだけなんです。そのことに日比野が初めて気づき始めている」

 USオープン初出場の尾崎里紗は、1回戦で予選勝ち上がりのダニエル・ラオ(219位)を6-3、(7)6-7、7-6(5)で破って初勝利を挙げ、同時にグランドスラム4大会目の挑戦で初勝利をつかんだ。

「今年の最後のグランドスラムで勝利できたのはすごくよかったです」と語った尾崎は、5回のマッチポイントを跳ね返して劇的な勝利をたぐり寄せた。

「"おしん"過ぎるでしょ」

 ジュニア時代から逆境になると不思議と底力を発揮する尾崎を指導してきた川原努コーチは、ドラマ「おしん」(NHK、橋田壽賀子原作・脚本)で、激動の時代をひたむきに生きたヒロインの忍耐力に重ね合わせながら尾崎のメンタルを表現した。

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