ポニーテール姿から14年。フェデラーとウインブルドンの特別な関係 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その日から2012年までの年月で、彼は7回、センターコートでトロフィーを掲げる。しかし、2013年以降は2度決勝に進むものの、いずれもノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れてきた。

 そして昨年......2月にひざの手術を受け、そのケガが完治せぬまま迎えたウインブルドンで、彼は準決勝でラオニッチにフルセットの末、敗れる。しかも、その一戦を最後に昨シーズン、彼は公式戦のコートに戻ることはなかった。

「最初は、あんなに休むことになるとは思っていなかったんだ」

 長期欠場を決意したそのプロセスを、"聖地"に帰還したフェデラーは述懐した。

「1ヵ月か、せいぜい2ヵ月の休養で済むと思っていた。だが、複数の医師に話を聞いたところ、ひざを完治させて万全の体調に戻るには、もっと長い時間が必要だと言われたんだ」

 当時の彼には、他に選択肢はなかった。身体を休め、まずはメスを入れたひざの回復に専念し、同時にフィジカルトレーニングや、バックハンドの練習に多くの時間を費やした。ひざや腹筋、臀部や左大腿四頭筋などの部位を強化し、瞬発力や跳躍力、そして持久力を上げるトレーニングにも力を入れる。そして、それら強化したパーツを統合し、徐々にテニスの動きへと構築していった。

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