錦織圭、失意の敗戦から「足りない何か」を求めジュネーブへ緊急参戦 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「なるべく多くの試合ができるように、今週はがんばりたい」

 本人が語る言葉にも、勝利への飢餓感がにじむ。消化不良に終わったマドリードの分も暴れると言わんばかりに、ローマでの錦織は上位進出に意欲と自信をみなぎらせていた。

 その錦織の前に立ちはだかったのが、度重なる左手首手術を経て、全盛期の力を取り戻しつつある1歳年長の宿敵だ。198cmの恵まれた体躯を誇るデル・ポトロの武器は、破壊的な威力を誇るフォアとサーブ。そのサーブをいかにリターンで封じ、得意とするバックの打ち合いに持ち込めるか――。錦織とデル・ポトロの対決とは、お互いがもっとも自信を持つ武器の相剋(そうこく)でもあった。

 手のうちを知る者同士の攻防のなかで、錦織に多少の誤算があったとすれば、デル・ポトロのバックが「思った以上に深く返ってきた」ことだろう。低く伸びるスライスと両手打ちの強打を使い分け、バックへの攻めにも動じなかったデル・ポトロ。対する錦織は、ローマの重く深い赤土にも悩まされ、「自分のフォアが全体的に浅かった」と唇を噛む。タイブレーク終盤や、ブレークを許した第2セット第3ゲームなどの競った場面で、フォアのショットを焦ったようにネットにかけてしまったのも、試合数と自信の欠如ゆえだろうか。

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