ジョコビッチが感じるテニス変革期。
「錦織は全豪OP優勝候補のひとり」 (2ページ目)
しかし、マリーが第3セットの第6ゲームでブレークポイントを逃したとき、ふたたび流れは大きく変わる。ライバルが見せた微(かす)かな落胆を見逃すことなく、ジョコビッチは続くゲームをブレーク。「まるで自分の分身と戦っているようだ」とジョコビッチが言うほどに、プレースタイルが似通い、ともに鉄壁の守備を誇る両雄の戦いは、試合開始から2時間54分後、ジョコビッチの強打でようやく終止符が打たれた。
男子テニス界は昨季終盤、ここ数年のそれとは異なる様相を見せてきた。長くテニス界を統(す)べたロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)がケガでツアーを離れ、絶対的な強さを誇ったジョコビッチも6月の全仏オープン優勝以降はやや失速。代わって世界ランキング1位に座したのがマリーであり、さらにはミロシュ・ラオニッチ(カナダ)や錦織圭、そしてマリン・チリッチ(クロアチア)ら25~27歳の選手たちが激しい追い上げを見せた。
変革期に差しかかったテニス界は、新しいことが起きそうな期待と予感に満ちている。同時にランキングが示すように、マリーとジョコビッチが頭ひとつ抜け出し、後続の挑戦を跳ね返し続ける現状もある。
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