錦織圭が今季最終戦で見せた2016年への「希望」と「課題」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

「ベースライン付近にとどまって、セカンドサーブをリターンでき、圭がコートで披露できる能力は本当に驚きだ。フォアハンドは破壊力があり、バックハンドはライン際をとらえる。It was impressive(見事だった)」

 フェデラーは、「(テニスを)見るのが最もワクワクする選手だと思う」と錦織を以前から評している。ツアーファイナルズという大舞台で繰り広げられた6度目の対戦は、素晴らしい試合内容で、その言葉を再認識するのに十分なものだったであろう。

 1勝2敗でRRを終えた錦織は、ツアーファイナルズで2年連続のベスト4進出はならず、2015年シーズンを(ランキング)8位でフィニッシュした。

「2年連続トップ8で終われるのは、非常に価値あるものだと思う。もちろんもっと上にいければよかったですけど、この位置にいるのも簡単ではない」

 2015年シーズンを振り返る時、錦織への評価は分かれる。昨年より活躍できていないのではという指摘もあるが、それは正解であると同時に不正解だ。

 正解の根拠としては、グランスラムでの錦織の成績が挙げられる。オーストラリアンオープン(全豪)では3年ぶり2度目のベスト8、ローランギャロス(全仏)では自身初のベスト8、ウインブルドンでは、左ふくらはぎのケガで2回戦棄権、USオープンでは1回戦敗退だった。ベスト4以上の成績を収められなかったため、トップ10に定着した現在の錦織の実力からすると、満足できない人が多かった。

「オーストラリアとフレンチが良かった半面、悔しい部分もあります。けど、フレンチでは初めて(ベスト)エイトに行けたり、収穫や自信もついたところもあるので、また来年はそれより上を目指したいですね」

 このように錦織は、結果を前向きにとらえようとしているが、コーチ陣は冷静に振り返った。

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