ラグビー明治大「4年間で一番、きつい練習をしてきた」けど完敗。最初のスクラムの反則で「消極的になる部分があった」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by 齋藤龍太郎

【痛かった前半終了間際のインターセプト】

 接点でも相手に食い込まれているから、明大のラインはどうしてもプレッシャーを受けてしまう。苦し紛れのパスが多くなる。ハンドリングも乱れた。

 勝負のアヤでいえば、前半終了間際の相手に許したトライだった。明大はラインアウトから左オープンに回した。CTB(センター)廣瀬雄也がひとり飛ばしのロングパスをFB(フルバック)雲山弘貴につなごうとした瞬間だった。このパスを帝京大WTB(ウイング)の白國亮大にインターセプトされた。

 痛恨の失トライだった。0-20とされた。誤算を聞けば、神鳥監督は「前半、失点が多かったこと」と応えた。
「結果論ですけど、届かなかった。とくに前半最後のインターセプトでとられたトライが、正直、痛かったなというのはあります」

 東京五輪に7人制日本代表で出場したエースWTBの石田吉平は「ディフェンスの壁が厚かった」と声を落とした。

「明治としては打開できるオプションがなくて、結構、テンパっちゃって、いつものプレーができなかったのが今日の敗因だと思います。予想以上に(相手のプレッシャーが)すごくて、そこでひいちゃったところがいけなかったのかなと思います」

 それでも、明大は後半、意地を見せた。田森らが2本のトライを返した。だが、5本の相手ボールスクラムのうち、3本のコラプシングの反則をとられた。

【新しい明治の色は出せた】

 神鳥監督によると、今年度のチームにはスター選手はいなかった。でも、飯沼主将を中心とした結束力はあった。新型コロナ禍も学生が自ら工夫して対策を練り、学生主体で「泥臭く、ひたむきに」猛練習に取り組んできた。

 合言葉が『凡事徹底』。グラウンドでも、私生活でも、当たり前のことを誰よりも徹底してきた。いわば規律、勤勉さである。練習は熾烈を極め、夏合宿での走り込みの量は昨年の倍ほどだった。

 飯沼主将は「例年に比べて、今年の代は能力が低かったんですけど」と言った。

「春から、同じ方向を向いて、ひたむきに、シンプルなことをやり続けて、ここまできました。4年間で一番、きつい練習をしてきました。新しい明治のひたむきさ、色は見せられたのかなと思います」

 関東対抗戦では帝京大、早大に敗れ、3位に沈んだ。そこからチームは結束し、大学選手権で勝ち上がり、準優勝となった。その過程の頑張りは、3年生以下には引き継がれることになるだろう。

 3年生の石田は言葉に力を込めた。

「来年こそ、頂点を極めて、優勝をつかみとりたい」

 明治プライドは、優勝しないと完全には取り戻せない。この悔恨と屈辱をどう、苦闘と努力の先の栄光へ結ぶのか。石田ら3年生以下は、電光掲示板のスコアと真っ赤なジャージの帝京大の喜ぶ姿をしっかりと目に焼きつけたそうだ。

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