横浜キヤノンイーグルス・沢木敬介監督が目指す攻撃的ラグビー。「チームのスタイルをファンが支持してくれることでチームはできていく」 (3ページ目)
【地域密着の取り組みも】
結果を出すために、沢木監督の日々の生活はラグビー漬けだ。土日が試合だとすると、その10日前には相手チームの分析を終えて、練習に落としこんで試合の準備をする。もちろん映像で分析し、データも見る。息抜きに近所のジムに行くが、バイクをこぎながらもラグビーの試合を見ている。24時間、ラグビーから離れられないのだ。
「違うことをしながらラグビーのことを考えるだけでリフレッシュになるんですよ(笑)」
もしかすると指揮官が選手やスタッフよりも一番、ラグビーとチームに愛情を感じているのかもしれない。
そういう指揮官に率いられたチームが新リーグでの戦いに臨む。
2015年W杯で南アフリカを撃破し、ラグビー熱が高まったが、その勢いを国内リーグに活かせなかった。だが、2019年日本で開催されたW杯で再び、人気が着火し、今やラグビーは日常に定着しつつある。そこからさらにラグビーを日本のスポーツに根づかせるためにリーグワンの理念でもある地域密着を進め、ファンを獲得していく取り組みなどが求められる。
「これからはただ試合を見せるだけではなく、いかにファンを獲得していくのかを常に考えていかないといけない。たとえば、欧州などのラグビーには面白いローカルルールがあるんです。前の週のMVPがピンクのパンツを履くんです。その選手がトライしたらファンはお菓子をもらえるし、5分間だけピンクのボールが出てきて、それをトライするとサポーターはビールが無料になるんです。だから、めちゃくちゃ盛り上がるんですよ(笑)。日本の試合でやるのは難しいけど、試合前とかハーフタイムとかに、そういう遊び心のある演出というか、ゲームがあるといいですね」
遊び心のある演出やイベントは、今や試合には欠かせないものになりつつある。Jリーグの川崎フロンターレは、前例のないイベントやハーフタイムショーでファンを楽しませている。イーグルスもそういうノウハウを得て試合前、試合後も楽しめる環境作りをしていく努力が必要だろう。
ただ、その前にチームが勝たないとファンは盛り上がらない。今シーズン、横浜キヤノンイーグルスの目標はどこに設定しているのだろうか。
「まずはトップ4の壁を崩すこと。それが現実的なうちの目標です」
沢木監督の狙いはチーム作り同様にシンプルで、ビッグマウスは必要ないのだ。
FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES』
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スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
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