日本代表と対戦の可能性。フィジカル大国・南アフリカの調子が上向きだ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by AFLO

 前半15分、替わって入ったイタリア代表の右PRが再び、脳しんとうの疑いがあるため退場した影響で、ワールカップでは珍しい、スクラムの押し合いを行なわず組むだけのノーコンテストで試合が続行された。

 互いにPG(ペナルティゴール)を決めた直後の26分、日本のクボタでもプレーする南アフリカ代表のNo.8(ナンバーエイト)ドウェイン・フェルミューレンがジャッカル(ボールを奪うプレー)を決めて反則を誘う。そして最後は、ゴール前でモールを押し込んでトライ。前半を17-3のスコアで折り返した。

 ただし後半、先にイタリア代表がトライを挙げれば、試合の流れはどちらに傾くかわからない。開始早々に攻勢に出たイタリア代表はラインブレイクからゴール前に攻め込み、大きなチャンスを得た。

 しかし後半2分、イタリア代表PRアンドレア・ロボッティがフェルミューレンを抱え上げてそのまま地面に落としてしまい、危険なタックルによってレッドカードで退場となる。このワンプレーで、試合の趨勢は決まってしまった。

「3-17でハーフタイムを迎えて、すべてパーフェクトにできれば逆転できたかもしれない。試合前はゲームプラン、戦術に自信があった。アンドレアが一番絶望しているかもしれないが、私たちも絶望した。レッドカードでこの試合は終わってしまった」(イタリア代表コナー・オシェイHC)

 数的優位となった南アフリカ代表は、堅固な組織ディフェンスで後半は相手に得点を許さなかった。そして攻撃でも、SH(スクラフハーフ)ファフ・デクラーク、SO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラード、FB(フルバック)ウィリー・ルルーがハイパントやスペースへのキックで主導権を握る。キックをうまく使ってプレッシャーをかけられたことに対して、デクラークは「味方がしっかりと追いかけて空中で競ってくれた」と胸を張った。

 南アフリカ代表は後半10分にPGで追加点を挙げ、後半13分にはポラードのオープンサイドへのキックからコルビが再びトライ。さらに後半17分には相手のパスをカットしたCTB(センター)ルカニョ・アムがインゴールに飛び込んで勝負あり。南アフリカ代表は後半だけで5トライを奪い、最終的に49-3で快勝して勝ち点5を獲得した。

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