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南ア戦で松島幸太朗が意地のトライ。
ディフェンスは課題が露わになる (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 8月下旬の北海道・網走合宿で、4年間の成長を問えば、松島は「視野が広くなったと感じます」と控えめな口調で言った。

「4年前はあまり何も考えずにやっていたけど、今はリーダーズグループの一人として、チームのことを考えるようになりました。メンタル的には、あんまりパニックにはならなくなった。負けている時でも、試合の流れを読みながら、次にどうしたらいいか、しっかり考えられるようになりました」

 からだのしなやかさ、強じんな足腰、危機察知能力、素材は文句なしだ。経験を積み、メンタルの安定、ゲームの流れを読む観察眼が加わった。前回RWCより期待がかかる初の自国開催のRWCも、「楽しんでいきたい」と口にしていた。

 チーム目標は、「ベスト8以上」である。自信は?と聞けば、WTBは背筋を伸ばした。

「まあ、自信はあります。初戦でだいたい、自分たちの力がわかると思います。そこにはしっかり勝って、勢いをつけていきたい」

 初戦のロシア戦まで約2週間。試合序盤、もう一人の快足WTB、福岡堅樹が足を痛めただけに松島にかかる期待はさらに大きくなる。加えて、この日の教訓をどう生かすか。

「ロシア戦で自分が何をするべきか考えないといけない時期なので、相手の分析など、考えながらやっていきたい」

 誠実、実直である。記者と交わるミックスゾーン。松島は背中にナップサックを背負い、右手にチームバックを提げたまま、記者の質問に答え続けた。

 黒色のチームバックには、赤い御守りが付けられていた。ハードワーク(猛練習)の強化合宿を積んだ宮崎の地にある宮崎神宮のそれだった。別れ際、ご利益のパワーはありますか? と聞けば、松島はニコッとした。

「あります」

 さあ、ワールドカップ本番である。ジョセフHCが「フェラーリ」と形容する快足バックスが、そのグラウンドを疾走する。ファンの期待を背負って。

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