100周年の早大が防御と展開で明大撃破。次なる目標は「荒ぶる」だ (5ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 谷本結利●写真 photo Tanimoto Yuuri

 今年は部の空気が変化した。カリスマ性のあった山下大悟前監督とちがい、相良監督は学生主体に方針を切り替えた。自主性を尊び、部内競争が激しくなった。

 鶴川によると、学生だけのミーティングは前年度までの3倍に増えたという。週明けの月曜日の夜は約1時間、学生だけのミーティングで反省し、コーチ陣と意見をすり合わせる。練習に反映させる。鶴川が説明する。

「選手同士のコミュニケーションの質量が増えました」

 鶴川は1年生の時、CTBだった。2年生でナンバー8となり、3年生からPRとなった。過酷なポジション転向にも挑戦した大学5年目の苦労人。こちらは食べて筋トレして、PRになって20kg大きくなった。ただいま182cmの115kg。

 実直、かつ誠実。試合後の薄暗いラグビー場の外で、「ブレザーを着たら?」という勧めを断り、寒風の中、薄手のワイシャツ姿で背筋を伸ばして、数人の記者に対応していた。

 100周年は?と問えば、ちょっぴり笑って、こう答えた。

「はい。例年以上にOBの方たちが声をかけてくれます」

 相良監督は会見で、こう言った。

「真吾(佐藤主将)の代として、100周年の年にひとつの歴史が刻めてよかった」

 その佐藤主将はこう、しみじみと続けた。

「歴史に名を刻めたのかなと思うとうれしいです。でも、まだまだ。僕らの目標は"荒ぶる"なので。ここから再スタートを切らないといけないと思っています」

 "荒ぶる"とは、大学日本一になった時だけに歌うことが許される勝利の部歌である。次のターゲットは10年ぶりの大学選手権優勝だ。一戦一戦、必勝である。

 いざ100周年に"荒ぶる"をー。

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