100周年の早大が防御と展開で明大撃破。次なる目標は「荒ぶる」だ (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 谷本結利●写真 photo Tanimoto Yuuri

 直後、早大は反撃した。後半14分。ラックから素早くボールを右に出し、岸岡から鶴川がもらい、右横の右PR小林賢太(1年)ではなく、深めにいた中野に絶妙のパスをつないだ。中野が角度を変えてタテに切り込み、ポスト下に躍り込んだ。

 その5分後もラインアウトから攻め、つないでつないで、再び中野がトライし、齋藤がゴールも決めて31-13と一気に点差をひろげた。

 3年生の中野は186cm、96kg。大型CTBとして1年生から活躍してきた。この春は社会人チームのサントリーの練習に参加し、スペースの見つけ方、生かし方、自分のからだの使い方に磨きをかけた。実はフィットネス練習で、春から体重を3kg絞っている。

 中野は前半、深い位置からファーストボール キャリー(最初にボールを持つ選手)として、馬力を生かして相手に当たっていった。相手ディフェンスが乱れた後半は一転、スペースを突いていった。

 中野は「いい状態でもらって、いいランができたかな」と満足そうだった。

「動きの中では、スペースを見つけて、より相手に(ターゲットを)絞らせないよう、自分がどうボールを持っていくのかを考えました。自分の勝負しやすい間合いでプレーできました。フェーズ(展開)を重ねる中で、どこのスペースが空いてくるのか。そのスペースを生かすため、どうFWをコントロールするのかを課題としてやっています」

 伝統の早明戦は特別である。早大は終盤、紫紺のジャージの明大の猛反撃に遭い、トライを2つ、許した。4点差に詰め寄られた。

 ラストワンプレー。明大が逆転をかけ、懸命につなぐ。相手FBが持ち込んできた時、早大CTBの桑山淳生(3年)が下にタックル、ナンバー8の丸尾祟真(2年)がジャッカルに入った。相手のノット・リリース・ザ・ボール(ボールを離さない行為)の反則。早大がこのPKをタッチに蹴り出し、ノーサイドとなり、31-27で逃げ切った。

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