五郎丸歩が移籍する「トゥーロン」、そして仏リーグ「トップ14」とは? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji  photo by AFLO

 トゥーロンが創設されたのは1908年。チームカラーは赤と黒。トゥーロン出身の歌手、フェリックス・マヨルがチームのために土地を購入し、寄付したことからホームスタジアム「スタッド・フェリックス・マヨル」と名づけられた。また、トゥーロンのエンブレムに描かれているスズランは、マヨルが歌うときにいつも胸ポケットに刺していたことから、彼へのオマージュとして採用されたという。

 1931年に初優勝を遂げて以降、トゥーロンは2000年代に入るまで計3度の優勝を誇る名門だった。しかしプロ化したのち、チームはスポンサーを失って財政難となり、2部リーグに降格して低迷期を過ごすことになる。そんなチームの苦境を救おうと立ち上がったのが、地元出身の実業家で現トゥーロン会長のムラド・ブジェラルだ。

 ブジェラルはアルジェリア移民の息子で、幼いころは貧しくて教育も十分に受けられなかった。だが、幼少期から「バンド・デシネ(フランス語圏の漫画。『タンタンの冒険』などが有名)」が大好きだったブジェラルは、22歳のときにバンド・デシネ専門の小さな書店を開き、7年後には出版社を立ち上げて財を成した。

 そして2006年、トップ14に昇格したものの1年で降格してしまったトゥーロンの会長に就任。ビッグクラブにすることを目標に掲げ、ニュージーランド代表の主将だったCTB(センター)タナ・ウマンガを獲得し、世界中のラグビーファンを驚かせる。当時、オールブラックスの選手がフランスでプレーすることは、前代未聞のことだった。

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