【ラグビーW杯】アメリカ戦。初先発のホープ、藤田慶和が駆ける (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤 龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 日本のエディー・ジョーンズヘッドコーチは「アメリカはセブンズ(7人制ラグビー)のような展開を狙ってくると思われるが、日本は規律を守り、冷静にプラン通りに試合を運ぶことが大事になる」と説明する。ディフェンスでは、故障明けで初先発となるCTBクレイグ・ウィング(神戸製鋼)に期待したい。

 そして、サモア戦と同様に「First to act(先制攻撃)」が大事。日本が上とみられるスクラム、ラインアウトから圧力をかけ、前に前に出るタックルで相手の出足を封じ込めたい。

 スクラムで大型の米国に対抗するため、右プロップには183センチ、122キロの山下裕史(神戸製鋼)が先発する。スクラムは低さと8人の結束で勝負。山下は「ST(スクラムトライ)を狙いたい」と頼もしい。

 このほか、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)、キックの攻防、レフリーとのコミュニケーションも流れに影響を与える。

 日本にとっては、試合前日のスコットランド対サモア戦の結果で決勝トーナメント進出の可能性が変わる難しい状況に置かれている。 

 チームは米国戦に向けた5日のミーティングで、その状況を確認し、リーチ主将と精神的支柱の廣瀬俊朗(東芝)がこの4年間のプロセスをレビューした。この米国戦は、いわばハードワーク(努力)の4年間の集大成。リーチ主将は言葉に実感を込めた。

「ぼくらは4年間、頑張ってきた。3勝すれば、すごく満足できるし、日本ラグビーももっと盛り上がることになる。ジャパン・ウェイ(日本流)でアメリカに勝つ」

 ジャパン・ウェイとは、低さとはやさ、賢明さ、フィジカル、フィットネス……。体を張って、ボールをスペースに動かして攻め続けることである。互いを信頼し、チーム一丸となって勝利にまい進することである。日本ラグビーの将来を懸けて。

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