【ラグビー】『ネバー・ビー・ハッピー』エディー・ジョーンズ流指導とは? (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 濱田陽守●写真 photo by Hamada Kiyoshi

 W杯では「ベスト8」を目標に掲げる。そのため、考え抜いた練習と規律を課し、「100%の努力」を選手に求める。

 多忙を極める中、練習後ホテルの会議室で、インタビューに答えてくれた。プロフェッショナルの指導哲学をじっくり聞いた。

*    *    *

――午前の練習、突然、打ち切られました。どうしてですか。

「選手が十分にコミュニケーションを取っていなかったから止めました。常に練習は試合をやっているつもりでやらないと意味がありません。意思、意図がないのは一番、イヤです。
 我々は世界のどこの国もやったことがないことにチャレンジしています。100%、努力しないと目標は達成できません。だから、100%で取り組んでいないことを感じたら、そこでトレーニングは終わらせます」

――集中力の継続が難しいのでしょう。

「日本の選手たちは練習をしたがっています。大事なことは、100%の努力を出し切ることです。どんどん、よくはなってきている。
 そういう意味では、FW(フォワード)がBK(バックス)よりいい。BKはメンタルで苦戦してます。ラグビーは考えるスポーツです。各場面で、隣の選手に自分が何をするのかを伝える。何をしてくれと指示することもある。特にBKはコミュニケーションで苦労します」

――エディーさんは以前、テレビで、「選手をハッピーにしない」と言っていました。その心は?

「人生で何かいいことを成し遂げようとするためには、必ず苦しみを伴います。もちろん、エンジョイはしてほしい。でも、ハッピーだと、こういう風に(ソファーに深く座るしぐさをして)ふんぞりかえってリラックスすると、100%のことはできません。(ソファーから立ち上がって、椅子に座って)これだとリラックスはできない。姿勢よく座らないといけません。この椅子の状態こそが、完璧なチームの環境です」

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