【ラグビー】トップリーグ決勝。ヤマハ、悲願初Vの条件は? (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki(T&t)

 ヤマハのスクラムは右プロップの押す方向が独特である。パナソニックの左プロップ、稲垣啓太は言う。「対応できないわけじゃない。(前回との対戦から)うまく修正して、いいスクラムを組みたいですね。1本、1本じゃなく、80分を通して、優位な形に持っていきたい」。

 またパナソニックのバックスリー(両ウイングとフルバック)のキック力はそれほどでもない。このバックスリーにキックを蹴らせる状況をいかに作るか。ヤマハとしては、まずはスタンドオフ大田尾竜彦らのキックを絡め、地域獲得で上回っていきたいところだ。

 さらに勝負のポイントは、ブレイクダウン(接点でのボール争奪戦)である。1人目の激しさ、確実さはもちろん、2人目、3人目の寄りの早さ、判断の早さで、後手を踏みたくはない。結束がばらけると、パナソニックにターンオーバー(ボールの奪取)を許すことになる。

 ヤマハの好調の要因は、大ケガから復帰したスクラムハーフ矢富勇毅の活躍に負うところが大きい。矢富-大田尾のハーフ団が相手FWをかき回し、3人の優れたランナー、デューク・クリシュナンとモセ・トゥイアリイ、マレ・サウをどう走らせるか。相手を密集に寄せれば、ワイドにボールを散らすこともできる。キックパスも効果的か。このあたりは、清宮監督の戦術、駆け引きと選手の判断力の見せ場である。

 いずれにしろ、スクラム、ラインアウトで圧倒しなければ、接戦に持ち込めない。ラインアウトでは、パナソニックのロック、ダニエル・ヒーナンの圧力をどうかわすか。工夫のしどころだろう。
 
 パナソニックの名将、ロビー・ディーンズ監督は「今季は1勝1敗。次に勝ったチームがすべてを得る。お互いのチームが宿題をしっかりやってきて、何かスペシャルなプレーを用意して臨むのではないでしょうか」と意味深な笑顔を浮かべた。

 堀江翔太主将はこうだ。「ヤマハさんは強いランナーでどんどん前に出て、タッチラインからタッチラインまでボールを動かすようなラグビーをする。僕らにあったアタック、ディフェンスをしてくると思うので、こちらもしっかり準備していきたい。目の前の判断を早くして、グラウンド上でマイナーチェンジしていきたい」

 キックオフは、2月1日の午後2時。天気予報は「晴れ」。勝てば、ヤマハが初優勝、パナソニックは2年連続3度目の優勝となる。

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