【ラグビー】リオ五輪に向けて、男女とも弾みのメダル
落胆の銀メダルと、プライドの金メダル。
秋の韓国・仁川の夜空に日本応援団の「ニッポン・コール」がこだまする。ため息と歓声。アジア大会の7人制ラグビー(セブンズ)で、男女の日本代表が残酷なコントラストを描いた。
決勝戦、勝ち越しトライを挙げるな ど、金メダルに貢献したレメキ・ロマノ・ラヴァ
まずは「サクラセブンズ」の女子日本代表。2点差を追うノーサイド直前。ラストワンプレーで、日本はボールをつなぎにつないだ。
雨上がりのグラウンド。ゴール前に迫る。最後、竹内亜弥がタックルを受けながら、緩いパスを放った。フォローに駆け込んだ鈴木陽子が捕って、インゴールに飛び込んだ。「逆転!」。誰もがそう思ったが、なんとレフリーの笛が吹かれていた。ジェスチャーは「スローフォワード」。無情の判定である。
ノーサイド。12-14。グラウンドにサクラセブンズの円陣ができた。竹内も鈴木も号泣している。主将の中村知春(ちはる)は気丈にふるまった。「悔しい」と漏らした。
「勝利まであと一歩で詰めの甘さが出た。修正して、次はてっぺんを取りたい」
日本と中国の差は確実に縮まっている。よく前に出た。ボールを継続してプレーすることはある程度、実践できた。つなぎとディフェンス、体力では成長の跡を示した。では、何が足りないのか。サイズはともかく、やはり接点で当たり負けしてしまう。ブレイクダウン(タックル後のボール処理)で圧力を受けるため、密集周辺のタックルが一歩出遅れる。受けては、どうしても綻(ほころ)びが出る。そこを突かれて、トライを失った。
浅見敬子ヘッドコーチは「貴重な経験になった」と言った。中国を倒さなければ、リオ五輪への道は開かれない。
「選手たちは力を出して戦ってくれた。スタッフも課題を見直し、アジアレベルのプレッシャー下であれば、落ち着いて自分たちのラグビーができるようトレーニングをして、次に向けて進みたい」
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