【Bプレミア】1カ月強で見えてきたオンザコートフリーの実像とBリーグが目指す未来 (3ページ目)
【厳しくも日本人のレベルアップにつなげる意図】
川崎のベテラン、アレックス・カークは日本人選手の出場機会で明暗が分かれていることについて「非常に難しいところ」と話した。2016-17シーズンから長く日本でプレーし、2024年に帰化した彼の言葉には、同情的な響きもある。
もっともカーク自身はオンザコートフリー採用に好意的で、導入直後は若手や中レベルの選手の出場が限られても、発奮することで日本人選手全体の質は向上するはずだと語る。
「結局のところ、これは誰もが従わねばならないルールなんだよね。厳しい状況に置かれる選手がいるのはわかるけど、僕は日本のバスケットボールの将来を気にかけていて、若手選手の成長を見たいと思っている。Bプレミアが始まってすでに向上を見せ、出場時間を大幅に増やしている選手もいる。このルールの採用によって目指すところは日本のバスケットボールやBリーグの発展であり、まだ足を踏み入れたことのないレベルに到達することなのだから」
年々レベルを上げるBリーグは競争力が高まってきたが、Bプレミアではこれまで以上に順位が変動する可能性を秘めている。オンザコートフリーの採用で、外国出身選手が1人でも故障すればチーム力に大きな影響が出るからだ(インジュアリーリスト入りすれば最低30日間は再登録できない)。
穴埋めのために新たな選手を獲得するにも、ビザの有無なども含めて容易ではない。千葉ジェッツやアルティーリ千葉、大阪エヴェッサは複数の外国出身選手に故障が発生し(大阪は日本人選手にも多数のケガ人)、苦戦を強いられているのも不思議ではない。
いずれにせよ、オンザコートフリーの採用で周囲からは賛否を含めたさまざまな反応が見られる。かつて日本のトップリーグでは日本人選手の出場機会を増やすために外国籍選手の数を1にしたり、クォーターごとに変動させるなどしてきた。
しかし時代は変化した。NBAに次ぐリーグを目指すBリーグは、日本人のレベルアップを促すために外国出身選手の数を増やすという、あえて厳しい道を敷いた。
この効果や成果がどう示されるか、開幕からの1カ月と少しという期間は標本の大きさとしてはあまりに小さい。
オンザコートフリーが日本のバスケットボール界にとっての毒となるのか、あるいは発展を促す薬となるのか。それが見えてくるのは、まだもう少し先だろう。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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