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【男子バスケ】ベテラン代理人が語るBリーグ再編・Bプレミアの行方〜外国籍選手の出場制限撤廃、サラリーキャップ&ドラフトの導入〜 (2ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【大学か、Bリーグかの難しい選択】

――サラリーキャップ、外国籍選手の出場制限撤廃のなかでの日本人選手のみ対象のドラフト制度という、リーグの規則内でのチーム編成が迫られます。現段階でそれらを導入する是々非々は置いておいても、そのふたつの制度があるのにトレード制度が設けられていない点は、違和感が残ります。

鴨志田:おそらく、サラリーキャップ制度の初期段階では、トレードした選手のサラリー換算までするシステムを作るのが難しいのかもしれません。ただドラフトを導入するなら、トレードや契約についての規則もリーグで導入すべきだと思います。 

――制度の過渡期ということもあり、ドラフト対象選手になる前に大学を辞めて自分が望むチームに入団する事例が続いています。それに対していろんな意見が出ていますが、その傾向をどのように見ていますか。

鴨志田:少し前までは、強豪大学はプロチームと同等、もしくはそれ以上の環境を備えていましたが、今は一気に差がついてしまった印象です。B1、B2に関係なく積極的に投資しているBリーグのチームは専用の練習環境があり、コーチもトレーナーも、それこそチームの先輩も日本のトッププロばかりで、外国籍の選手もいます。対戦相手のレベルも違います。成長する環境がそこにあるのです。

 Bリーグか大学か、自分にとってどちらが1年間で成長できるのかを判断したうえで、Bリーグ入りを選んでいるのではないかと、個人的には感じています。

 スカウトに関しては、声をかける年齢、時期がどんどん早くなっていることも間接的に影響しているのではないでしょうか。例えば、トップクラスの高校生なら3年生になった早い段階、場合によっては高校2年や1年の段階で強豪大学から声をかけられることも予想されます。

 トップクラスの高校生なら年明けから大学入学までの3カ月、特別指定選手(22歳以下の現役高校生・大学生の日本人選手がBリーグの試合に出場できる制度)としてプロを体感できる機会があるわけですが、もし身を置いたプロチームのほうが自分にとっていい環境と感じても、大学入学が決まっているとなると、難しい決断を迫られることになります。

――もしくは大学に入ってみたものの、やはり高いレベルでプレーしたほうが自分のためになると感じて、近年は大学を中退してプロ入りする選手も増えています。

鴨志田:私自身はそれぞれの事例についての背景を知り得ないので、何とも言えません。ただ、Bリーグと大学側が何か取り決めを交わしているわけではない以上、感情論だけで良し悪しを決めるのも違う気もします。プロ入りするにしろ、大学でプレーするにしろ、選手本人が成長できる環境を選び決断している、という捉え方をしています。

――今後、代理人の立場から見て、Bリーグはどのような方向に向かっていくと思いますか。

鴨志田:新リーグのスタートに伴い、昇降格制度の廃止、サラリーキャップ制度の導入、そしてドラフト制度など、さまざまな新しい要素が入ってきます。それによって良し悪しが出てくると思っておりますが、変化をしていくなかでも「日本人選手の成長」が加速されるようなリーグになってもらいたいと願っています。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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