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NBAを目指す富永啓生が語った決意 Gリーグ所属チームのHCに聞く苦闘の理由

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

富永啓生はGリーグでの苦しい状況からの巻き返しを誓う photo by Getty Images富永啓生はGリーグでの苦しい状況からの巻き返しを誓う photo by Getty Images

日本屈指のシューター・富永啓生がGリーグで厳しい状況に置かれている。大黒柱として活躍したネブラスカ大を卒業し、日本代表としてオリンピックの舞台に立ち、NBA挑戦を続けているが、マイナーリーグに当たるGリーグでは現在、出場機会すら与えられない試合が多い。

富永が所属するインディアナ・マッドアンツのヘッドコーチが語るその理由、そして富永が2025年に向けた新たな決意とはーー。

【前向きな姿勢は変わらずも厳しい年越しに】

 インディアナ・マッドアンツの富永啓生は2024年12月30日、ニューヨークでの試合後、怒涛の日々だった2024年をしみじみと振り返った。

「いい経験をしていると思います。大学のラストシーズンから始まり、オリンピック、Gリーグといろいろな場所で1年間やってきた。もっと成長しなければいけない部分も、明確になってきています」

 日本が誇るシューターがネブラスカ大を卒業し、アマチュアからプロへの階段へと踏み出した年だった。カレッジでの最終年は平均15.1得点を挙げ、全米的な注目選手に。"史上最強"と称された日本代表の一員としてパリ五輪に臨み、その後の動向が注目されていたなか、NBAインディアナ・ペイサーズと開幕前のキャンプ参加を前提にしたエグジビット10契約を結ぶと、Gリーグ(マイナーリーグ)でのデビューも果たした。

 本人の言葉どおり、この1年間でNCAAトーナメント、パリ五輪、Gリーグのゲームにすべて出場した選手がどれだけいるだろう?

 激動の2024年のなかで真っ先に思い出す景色は? と問うと、「やっぱりオリンピックは大きな舞台でした。あとカレッジ(のNCAAトーナメント進出)も」と遠くを見つめながら答えた。

 富永のバスケットボールのキャリアだけでなく、人生の財産になった時間であることは間違いない。その最後に、盟友・河村勇輝同様にNBAのステージにまで到達していたら、最高の締めくくりになっていたのだろう。しかしーー。

 プロでの富永は、厳しい状況を経験している。Gリーグではこれまで前半戦にあたるティップオフ・トーナメント、後半戦のレギュラーシーズンを合わせて出場できたのは合計12試合。平均6.4分プレーして1.0得点(FG成功率21.7%、3ポイント成功率13.3%)、0.7リバウンド、0.3 アシストと苦戦している。DNP(監督判断での不出場)に終わるゲームも多く、プロの壁を思い知らされる形になっている。

 12月30日、1月1日とニューヨークで行なわれたウェストチェスター・ニックスとの2連戦でも出番はなく、現状を語る際には表情が曇っていた。

「もちろん思い描いていたのとは、ちょっと違うところにいます。試合に出たいなって気持ちはもちろんあります。そのなかでも我慢して、とりあえず練習中からアピールしてやっていければと思っています」

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著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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