河村勇輝が語るNBAグリズリーズで学んでいること「自信を持って(八村塁と)一緒のコートに立てる時間がより多くなるよう、成長し続けたい」 (3ページ目)
【メンフィスのチームメイトには感謝しかない】
11月13日のレイカーズ戦で八村と再会した河村 photo by Getty Images──生活面などではかなり適応力があるように見えますけれど、新しい環境に適応することは、得意ですか?
「まだ、ホームシックになったことはないです(笑)。高校から(実家の山口を離れて)福岡に行ったり、そこからまた仲いい高校の友だちとも離れて大学は上京して、またそのあとすぐ横浜に行って、アメリカに来ましたけど、ホームシックになったことはないので。
そういった意味では、もしかしたら(適応力が)あるのかもしれないですけど、自分自身では、特に思ったことはないですね」
──メンフィスでは、自分で車を運転しているんですか?
「はい、自分で運転しています」
──左ハンドルも慣れた?
「(笑)慣れたかどうかわからないですけどね」
──間違って左のレーンに入ったりということはないですか?
「それはないですね。最初のほうはウインカーと間違えてワイパーを動かしてしまうこともありましたけど、もう慣れてきたんで。けっこう一時停止が多いので、そういったところは気をつけないといけないとは思っていますが、ま、でも、もう運転し始めて2週間ぐらいは経ちましたからね。メンフィスは車がないと、正直生活ができないので、けっこう使う機会は多い分、慣れましたね」
──自分で英語が上達していることを感じますか?
「感じてはいますけど、まだまだだなって。よくなってると思う反面、全然まだまだなんだなって感じることも多いです。なので、もう1回、文法をイチからやり直そうと思っています」
──文法からやるんですか? 会話ではなくて?
「最終的に文法のところがちゃんとしてないと。チームメイトから学ぶ砕けた話し方だったりスラングは、インタビューとかではあんまり使えないというか。そこに慣れてしまうと、やっぱりちょっと......言葉はすごく影響のあるものだと思っていて、それは日本語でも英語でも変わらないと思います。なので、チームメイトと話す時はそういう言葉でいいと思いますけど、インタビューの時とかはしっかりとした綺麗な、というか、ちゃんとした文法だったり、言葉を使いたいと思っています」
──スラングも、チームメイトからかなり積極的に学んでますよね?
「学んでいます。学んでいるというか、教えられてるみたいな感じです(笑)」
──スラングにしても、学んだものをすぐに使えるっていうのも適用力なのかなと思いますけど......。
「どうなんですかね。本当にメンフィスのチームメイトが親切で、環境がすごくよかったなっていうふうには思ってますね。僕が喋れないけど、喋れる雰囲気を作ってくれているチームメイトには、本当に感謝しかないです。僕自身の努力だけではなく、受け入れてくれたチームメイトだったり、今でも英語を教えてくれたり喋りかけてくるチームメイトがいて、今の僕があると思ってるので。本当にありがたいなっていう気持ちでいっぱいです」
──今日、ようやく八村(塁)選手との対戦ですけど、前もって連絡を取ったりしましたか?
「そうですね。塁さんには連絡させてもらっています。前のメンフィスでの試合の時(11月6日)は体調を崩されたっていうのを聞いて、少し残念ではありましたけど、長いシーズンを健康で送ることが一番大切だなと思っているので。
今回はありがたいことに僕が帯同してる間の、早い段階でレイカーズとの試合があるっていうのも、また幸運だなと思います。今の状態で言うと、アクシデントがない限りは塁さんと僕が一緒にコートに立つ時間帯は、可能性としては高くないのはあるんですけど、どうであれ塁さんがプレーされている姿をベンチからしっかり見ることもすごくうれしいです。それを目に焼きつけたいなっていう気持ちもあります。またいつかは自信を持って一緒のコートに立てる時間がより多くなるように、僕も成長し続けられればいいなと思っています」
*11月13日の試合は128対123でレイカーズの勝利。八村は36分出場で19得点、7リバウンド、3アシスト。河村は不出場だった。また、河村は15日(現地時間)にGリーグ・ハッスルでプレーする予定。
著者プロフィール
宮地陽子 (みやじ・ようこ)
スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。
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