「見とけよ、俺は変わったぞ」トム・ホーバスHCに猛アピール 「リアル桜木花道」川真田紘也がバスケW杯メンバーに入るまでどう過ごしたのか (2ページ目)

  • 青木美帆●取材・文 text by Aoki Miho

【代表メンバーから学んだこと】

――いえいえ、大丈夫です。落選時にホーバスコーチから言われた言葉で、自分がいい方向に行くきっかけになったことはありますか?

「ウィンドウ4の時にバスケ以外のところでけっこう怒られまして......。『それでは選ばれないです』と、24歳にもなって久しぶりに怒られました(笑)。そのせいでウィンドウ5(2022年11月7日―15日)に呼ばれなかったかもしれないですけど、ウィンドウ6は練習生とはいえ呼んでもらえたので、"見とけよ、俺は変わったぞ"ってアピールしていました」

――技術面ではどういう部分を磨くことを心がけましたか。

「トムさんのバスケは3ポイントが主体で、僕も『打っていいですよ』と言われていました。でも、僕はシュートがうまい人たちに3ポイントを打たせるためのスクリーン、リバウンド、ディフェンスをしっかりやることがメンバー入りへの近道と考えて、そこを重点的に取り組みました」

――体を使って相手ディフェンスを抑え、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)や比江島選手のドライブのコースを開ける「クリアアウト」も素晴らしかったです。

「僕たちはチームスポーツをしているので、自分が点を取ったり試合に出て勝つのが一番うれしいですけど、その次にうれしいのは仲間が点を取ってチームが勝つこと。ワールドカップはそういうプレーが僕の生きる道だと思っていたので、得点につながってすごくうれしかったです」

――経験豊富な先輩たちと共に過ごす中で、学んだことや感じたことはありますか?

「これは代表メンバー全員に言えることですが、1個のミスでも『なぜミスしたのか』『もっとこうすればいいんじゃないか』という話し合いをしている。それを一つひとつ積み重ねている姿を見て、やっぱりうまい人は探求心が強いんだなっということを学びました。でも、オフは結構ワイワイして、そういうのも大事なんだと(笑)。

それは先輩だけでなく後輩も同じで、富永(啓生=ネブラスカ大)や河村は後輩とは思えない落ち着きっぷりがあったし、自分の芯があって意見もはっきり言う。すごいなと思いました。先輩・後輩関係なしに尊敬できる人がいっぱいいたチームでした」

――中でもチーム最年長(33歳)で得点面で際立つ活躍を見せた比江島選手とは非常に親密になったようですね。比江島選手が川真田選手のことを「僕のメンター」と言っていて驚きました。

「出会って1年くらいなんですけどね。確か、西田(優大、シーホース三河)か吉井(裕鷹、アルバルク東京)が比江島さんに冗談を言っていて、僕も絡み出したのがきっかけだと思います。本当に面白い人なので......いや、内心では怒っているかもしれないですけど(笑)、後輩につき合ってくれていました。僕はもう金魚のフンのように比江島さんの横にいましたから(笑)」
代表では体を張ったプレーで存在感を示したphoto by YUTAKA/AFLO代表では体を張ったプレーで存在感を示したphoto by YUTAKA/AFLOこの記事に関連する写真を見る

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