2020.01.01

八村塁がNBAで示している適応力。
最適な環境で能力はまだまだ伸びる

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

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バスケットボール 八村塁 編

 八村塁のNBAでの連日の活躍を見て、明成高校時代の恩師、佐藤久夫コーチは「その頑張りがうれしいというより、毎日揉まれて大変だろうと思う」という親心で、教え子の活躍を遠い仙台の地から見守っているという。
NBAでも日本代表としても、さらなる活躍が期待される八村塁 こうして教え子を見守る一方で、八村が渡米してからの4年間、佐藤コーチに八村のことを訊ねるたびに、「塁はまだまだ伸びるし、まだまだできる」というセリフを毎回のように聞いてきた。高校時代からNBA選手になることを無理だと決めつけたことは一度もない。将来への可能性を信じて毎日の練習でプレーの幅を広げ、トップレベルに挑戦するために下級生の頃からエースとしての風格やリーダーシップを要求してメンタルを鍛えてきた。

 また、八村が壁にぶつかったときには「将来、自分はどういう選手になりたいか」と原点を思い出すアドバイスを送り続けている。こうして八村は「成長するためには毎日コツコツやることが大事」という選手としての土台を高校時代に築いたのだ。

 アメリカでは強いフィジカル集団の中で体の使い方がうまくなり、英語を習得したことで、戦術の理解や意思疎通を図れるようになり、みるみる成長していったのは周知の通りだ。

 八村のことを「まだまだ伸びる」と言い切るのは、ゴンザガ大のマーク・フューHC(ヘッドコーチ)や、ワシントン・ウィザーズで八村の技術指導にあたるデビッド・アドキンスコーチの2人で同意見だ。NBAで息の長い選手になるためには、「20代前半にどれだけ経験を積めるか」という意見も佐藤コーチやアドキンスコーチは一致している。そういった意味では、再建中のウィザーズに指名されたことで、毎試合のように主力として出続けることは、八村にとってはこれ以上ない最適な環境のチームに進んだと言える。

 12月16日、八村は太ももの付け根あたりの鼠径(そけい)部を負傷してしまい年内のゲームは欠場に至っている。その後の診断によって出場の可否が決定されるというが、それまで開幕からの25試合はすべて先発を務め、アベレージは29.2分出場、13.9得点、5.8リバウンドと、ルーキーとして予想以上のスタッツを残している。10月24日(日本時間)のデビュー戦ではいきなり14得点、10リバウンドのダブルダブル()を達成した。

 ※ダブルダブル=1試合で得点、アシスト、リバウンド、ブロックショット、スティールの主要5部門において、2部門で2桁の記録を残すこと。