「トランプ大統領」の当選にNBA選手はどんな反応を示したのか (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 そして、トランプ次期大統領に不安の声をあげているのは、黒人だけでも、選手たちだけでもない。大統領選挙の2日後、誰よりも厳しい言葉で結果に異議を唱えたのは、3人の白人ヘッドコーチたちだった。

 まずは、デトロイト・ピストンズの白人ヘッドコーチ、スタン・ヴァン・ガンディが口火を切った。

「私はブッシュ(第43代大統領のジョージ・W・ブッシュ)に投票したことはなかったが、それでも彼は、私とは政治的な見解の相違があるものの、立派な人だった。

 しかし、私たちの国が今、この時点で選んだ人物は、人が何と言おうと──ドナルド・トランプに投票した人には、彼らなりの多くの、もしかしたらきちんとした理由があったのかもしれないが――でも、彼は公然と騒がしいぐらいに人種差別的で、女性蔑視で、自民族中心主義者の発言をしてきた人間だ。それを、『それでも構わない。彼に投票する』となるとは......。彼に投票した人たちは、国の多くの人たちを裏切ったことになる。これが、今のこの国の状態なのかと思い、そのことが問題だと思っている」

 続いてウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーも声をあげた。最近の社会の傾向として、どんな分野でも大声をあげて過激な発言をする人たちがテレビに出て大金を得ていることに触れ、「それが政治の世界に及ぶことは、時間の問題だったのかもしれない」と大局的な視点で語り、それでも、そのやり方で出てきた人が大統領として国を率いることが信じられないとはっきりと語った。

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