NBAを目指す八村塁が「バスケは楽しいです」と言える原動力

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 今、日本のバスケットボール界でもっとも注目を集めている選手といえば、明成高校3年の八村塁(はちむら るい)だろう。

高校最後のウインターカップも制し、3連覇を達成した明成高校の八村塁高校最後のウインターカップも制し、3連覇を達成した明成高校の八村塁 高校ナンバーワンを決定するウインターカップではエースとして明成を3連覇に導き、高校2年時に出場したU17世界選手権では平均22.6点で得点王を獲得。NCAA(全米大学体育協会)でエリート8(ベスト8)の実績を持つゴンザガ大への進学希望を表明しており、NCAAの強豪校から勧誘を受けた初の高校生として高い注目が寄せられている。「将来はNBAを目指し、日本を引っ張る選手になりたい」と目を輝かせる期待の17歳だ。

 そんな八村塁が、ウインターカップの優勝インタビューにて満面の笑顔で語った「バスケはすっごい、すっごい、楽しいです」――の言葉は強烈なインパクトを残した。もっともこのフレーズは1年時の優勝インタビューで「バスケは楽しい」と語ってから"お約束"になっていた。2年の時には「すっごい」が強調され、3年時には「すっごい、すっごい」と年々実感がこもる言葉と比例するような成長ぶりを見せたことで、スポーツの原点を、17歳の少年によって改めて気づかされた。

「楽しい」といっても、高校での部活動が決して楽だったわけではない。むしろ、前任の仙台高校と合わせてウインターカップを6回も制した実績を持つ佐藤久夫コーチ率いる明成は、「365日×3年間の取り組みを大事にすること」をモットーとし、緻密な指導に定評がある高校界屈指の強豪である。そんな厳しい環境の中で、心底「バスケが楽しい」と笑う八村を突き動かしているものは何だろうか――。

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