【NBA】どうしたレイカーズ。スター軍団、早くも崩壊の危機? (2ページ目)

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi
  • photo by Getty Images

 プリンストンオフェンスは、『モーションオフェンスの進化系』と言われています。モーションオフェンスというのは、簡単な約束事をベースに、止まることなく連続して動くことでノーマークを作り、シュートチャンスを作るシステムのこと。しかし、プリンストンオフェンスというのは、選手の動きに決まり事があるわけではありません。つまり、このシステムは、バスケットIQが高くないとアジャストできないんです。

 語弊があるかもしれませんが、そもそもプリンストンオフェンスは、運動能力の高くないチームが採用するシステムなんです。もともと、推薦入学で能力の高い選手を集められないプリンストン大学のコーチが考案したもので、「どうすれば運動能力の高い強豪チームに勝てるか?」を思案した結果、相手ディフェンスの動きに対して臨機応変に動くオフェンスを作ったと言われています。

 よってこのシステムは、相当に練習しないと理解するのが難しいんです。瞬時の判断能力をしっかり訓練しないと、そう簡単に身につくものではありません。約束事があるわけではなく、すべてはパッサーとボールの受け手の判断で成り立つシステムなのですから。練習でいっぱいミスをして、何度も選手同士でタイミングを計らないと、形にはならないでしょう。

 それを踏まえて開幕戦のレイカーズを振り返ると、プリンストンオフェンスが浸透しているとは、とても言えません。明らかに練習時間が足りていないのだと思います。もちろん、選手はシステムを意識してプレイしていると思うのですが、全然噛み合っていませんし、パッサーと受け手の息もまったく合っていませんでした。

 おそらくブラウンHCは、昨シーズン、バックアップメンバーの得点力が最下位だったことを憂慮し、それを補うためにプリンストンオフェンスの導入に踏み切ったのでしょう。そうすれば、バックアップメンバーでも強豪相手に得点することができるだろうと。特に今シーズンは、38歳のナッシュと34歳のコービー、高齢のスタメンをふたりも抱えています。よって、バックアップを使う時間も増えると考え、スタメンとの格差を減らすために新システムを導入したのだと思うのです。

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