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【F1】ホンダの「エンジンが壊れるPUは狙っても作れない」と浅木泰昭 レギュレーション一部変更後の開発競争の行方は (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【バッテリーが壊れるPUは狙っても作れない】

 PUに関してはメルセデスとフェラーリの2チームが飛び抜けていますが、フェラーリはスタート性能の優位性があります。ところが走り出したあとはメルセデスが完全にライバルを圧倒しています。

 レッドブルとアウディは本当によくやっていると思います。フェラーリとメルセデスに性能ではちょっと負けていますが、レースを最後まで走りきれるだけの信頼性は備えています。時々、トラブルが発生して壊れることもありますが、それは新規参戦のメーカーですから仕方がありません。

 ホンダも最低限レッドブルとアウディくらいの性能を発揮できるPUを開発できるだろうと予想していました。信頼性に関しては、ホンダは新規参戦の2メーカーに負けることはないはずですから、その分、レッドブルやアウディよりもいいだろうと。それがまさか完走さえままならない状況になるとは、想定外でした。

 ホンダは開幕からの3戦、PUの振動問題に悩まされていました。内燃機関(エンジン)が加震源であることは間違いないと思いますが、バッテリーを壊すようなエンジンを単体で作ることは狙ってもなかなかできるものではありません。共振している以外はあり得ません。

 たとえば、「20周でバッテリーが壊れるPUを作ってみろ」と私が言われたとします。「PU単体では無理です」と返答します。車体が協力してくれないと、そんなPUを作ろうと思っても作れないのです。

 前回(第9回)も言いましたが、F1で使用するバッテリーは飛行機で輸送するので、法律で定められた厳しい加振テスト(振動試験)を受けなければならないのです。それをクリアしたバッテリーが壊れるというのは普通のことではないです。

 もし加振テストをクリアしたバッテリーを20周でどうしても壊せと言われれば、もう振るしかないのです。重たいものを共振させて、その振動がバッテリーに伝わりやすい構造にするしかないと技術者としては思うので、そういうことをやってしまったんだなと推測しています......。

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