角田裕毅は「限界まで攻めることができていない」 F1カメラマン2人が語り合う今季のレッドブルとトヨタの今後 (2ページ目)
【トヨタから日本人F1ドライバー誕生なるか】
ーー7月に電撃解雇されたクリスチャン・ホーナー氏の代わりにローラン・メキーズ氏がレッドブルの新しいトップに就任しました。
桜井 これまでチームを牽引していたホーナー氏がいなくなった途端にバラバラと崩れてしまうのか。それともメキーズ氏が立て直すのか。F1の世界はトップが代わると、チームの雰囲気や成績もガラッと変わります。
ウイリアムズも2023年にメルセデスでエンジニアを務めていたジェームス・ボウルズ氏が新しい代表に就任すると、スポンサーもスタッフも増え、チームがどんどんいい方向に変わっています。レッドブルが今後どうなっていくのか、興味深いですね。
熱田 ハースは小松礼雄さんが2024年から代表に就任して、すごくよくなりましたよね。小松さんがチームの方向性をしっかりと示して、そのとおりにスタッフが一丸となって動き始めています。チームの雰囲気はすごくいいですよ。それにトヨタと提携したことで予算も人もどんどん増えているし、パフォーマンスも着実に上がっています。
F1の2025年シーズン後半戦を展望した熱田護氏(左)と桜井淳雄氏(右) photo by Takana Wataruこの記事に関連する写真を見る
ーーハースと言えば、8月6〜7日の2日間、富士スピードウェイで旧車を使ったテストを実施しました。
熱田 今回のテストはトヨタとハースの人材交流に加え、トヨタのドライバー育成プログラムがF1にまで道筋がつながっていることを示す目的もありましたが、いい試みだったと思いました。
僕は現地へ取材に行きましたが、テストにはハースのスタッフだけでなく、パワーユニット(PU)を供給するフェラーリのスタッフ、トヨタの関係者もいましたので、お金はすごくかかっていたはず。それなのにお客さんはたったの1200円でF1のマシンを間近で見ることができたのですからね。すごく盛り上がっていました。
ーーテストでは2024年のスーパーフォーミュラでチャンピオンになった坪井翔選手(30歳)と、FIA世界耐久選手権にトヨタのドライバーとして参戦しながらハースのリザーブドライバーを務める平川亮選手(31歳)がステアリングを握りました。
熱田 今、カートやジュニアフォーミュラに乗っている若い子たちがホンダだけじゃなくて、トヨタでもF1まで行けるということを示したわけですよね。日本の子どもたちの夢が広がるわけですから、大きな意味があると思います。
桜井 トヨタがF1まで道を作るのはいいことですが、平川選手と坪井選手はともに30歳を超えています。彼らがF1デビューを実現させるのは、そう簡単ではないと思います。
トヨタは2009年にF1を撤退し、長い空白の時間がありました。今、ハースの協力を得てF1まで道をつないだのはいいですが、そこに乗せるドライバーがいないというのが現状だと思います。人を育てるのは時間がかかります。これからトヨタのドライバー育成がどのような形で進んでいくのか。今後も注目していきたいです。
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