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【F1】角田裕毅がカナダGPで試した新アプローチはうまくいったのか「まだ秘密にしておく」と含みを持たせた理由 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【フェルスタッペンのマネはしない】

「我慢のレースであり、普通にレースができなかった感じもありました。トレインの後ろのほうで走っていると(ダウンフォースを失って)グレイニングが出て厳しくなりましたし、ミディアムに交換してからトラフィックにスタックする場面も多かった。クリーンエアでフレッシュタイヤの時にどんなパフォーマンスがあるのか、見せられなかったのは残念です」

 ヨーロッパ3連戦で辛酸をなめ、このカナダGPには新たに試したいことをトライしたという。クリスチャン・ホーナー代表によれば、それは角田独自のセットアップの方向性だという。

「裕毅はこれまでほかのドライバーたちがやってきたように、マックスのセットアップをマネしようとする道には進まず、自分自身のスタイルやニーズに合った方向性を追究することを意識している。そして今週末、その取り組みはある程度、前進を見せたように思うよ」

 フェルスタッペンと同じセットアップで走れば、RB21のポテンシャルを100パーセント引き出すことができるようになる。しかしそれを可能にするには、このチームで9年走ってきているフェルスタッペンと同等レベルまでマシンを習熟し、ナチュラルに操れるまで身体に馴染ませる必要がある。ドライバーの能力以前の問題として、それには決して短くない時間が必要だ。

 だから角田は、まず自分のスタイルに合ったマシン方向性を模索し、そうすることで100パーセントを引き出せなくても95〜97パーセントを安定して引き出せるようにすることを、最初のターゲットに据えた。

 そのための第1ステップがカナダGPだった。FP3のトラブルとペナルティで見えづらくなってしまったものの、ヨーロッパ3連戦で霞んでいた実力が戻ったことは確認できた。

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