【F1】角田裕毅も苦笑いするほどの力不足だったカタールGP「あんなに遅かったのは初めて」
F1第23戦カタールGPレビュー(後編)
カタールGP決勝で、角田裕毅(RB)は最高のスタートダッシュを決めた。14位から9位まで浮上したあとは、後方からケビン・マグヌッセン(ハース)の猛攻を受けるも、なんとかこれをしのぐ。
しかし、10周目のターン1〜2でマグヌッセンに先行を許すと、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、周冠宇(ジョウ・グアンユー/キック・ザウバー)、バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)と、次々と中団勢に抜かれていった。
キック・ザウバー勢と比べても角田のペースは0.5秒ほど遅く、まさしく為す術(すべ)はなかった。
角田裕毅は戦うことすらできなかった photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 失うものがないからこそ、レース終盤のセーフティカーでソフトタイヤに履き替えるギャンブルを採ったものの、それも状況を打破するには至らなかった。
担当レースエンジニアのエルネスト・デジデリオはこう語る。
「今日は2台ともペースが足りず、遅すぎた。裕毅はとてもいい仕事をしたと思うよ。特にスタートとリスタートはすばらしかった。ポジションをいくつも上げることはできたが、残念ながらそれをキープできるほどのペースがなかった」
中速コーナー、高速コーナー、ストレート、すべてにおいて速さが足りなかった。
「もう、ストレートもコーナーも、だね。とても難しい状態だった。バルセロナ(スペインGP)やザントフォールト(オランダGP)、レッドブル・リンク(オーストリアGP)のように、高速コーナーと中速コーナーが多いこのサーキットのコース特性にマシンが合っていなかったことが苦戦の原因だ」
ルサイル・インターナショナル・サーキットには、VCARB 01が得意とする低速域のコーナーがない。逆に苦手とする、回り込むような長いコーナーが多い。
そして、そういったコーナーを速く走るためにダウンフォースが必要とされる一方で、モナコやハンガリーと違って長いストレートではドラッグ(空気抵抗)がライバルよりも大きいことが不利になる。
苦しい戦いを強いられるどころか、戦うことすらできなかった。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。