Juju、スーパーフォーミュラ史上最年少18歳の挑戦「経験値が圧倒的に低いのはわかっている。成長する姿を見せていけたら」 (4ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro

【レースに出て走らないと経験の差は埋まらない】

── スーパーフォーミュラは常に結果を求められる厳しい世界ですが、その舞台で戦うことへのプレッシャーはありますか?

「日本人女性初・史上最年少──という肩書は、裏を返せば経験も浅いということ。日本で経験を積んでいるほかのドライバーは、ほぼすべてのサーキットで目をつぶっても走れるぐらい走り込んでいます。海外から来るドライバーも、それを補うだけの経験値を持っています。

 それに比べて私は、経験値でいうと圧倒的に低いところから始まっているので、最初から『勝ちに行きます!』というのは現実的な話ではない。それは自分も周りもわかっていることです。

 それでも、私をスーパーフォーミュラに乗せるためにサポートしてくれるチームがいるので、自分にできるベストを尽くして、いろんなことを学び、吸収していって、成長していく......。それが2年目、3年目、そしてこれから先につながっていくと思います。

 今年は『勝ちにいく』とか『結果を残しにいく』というよりも、まずはいろんなことを学んで、自分自身の成長を毎戦、毎戦で見せていけたらなという気持ちが一番大きいです」

── スーパーフォーミュラのデビュー戦(3月9日・10日/鈴鹿)は17位完走という結果でした。開幕戦で自信になった部分や、第2戦以降の課題と感じているものはありますか?

「開幕戦はとにかく、予選日の流れがすごく悪かったです。予選のままの流れで決勝も走っていたら、結果はボロボロになるなという感じがありました。

 クルマはすごくよかったんですけど、チームとのコミュニケーションに問題があったというか、私もまだ経験が浅いこともあって、噛み合わない部分があって......。予選までの流れはすごく悪かったです。

 ただ、決勝レースではスタートもうまく決まったし、レースペースも周りと比べて悪くなくて、しっかりと完走できました。すごくいい形で終えられたと思います。

 予選の悪かった状況を自分の力で立て直すことができたのは、すごく意味があることだと思っています。あの経験ができたことで、次に同じようなことが起こっても『あの時に立て直せたから、次も大丈夫』という自信につながりました。

 ただ、日本のサーキットの経験がまだほとんどないので、第2戦のオートポリス(5月18日・19日/大分)も大きなチャレンジであることに変わりはありません。レースに出て走らないと経験の差は埋まっていかないので、次戦もしっかりとベストを尽くして、いろんなことを学んでいきたい。もちろん、楽しんでレースをしていきたいとも思っています」

(後編につづく)

◆Juju・後編>>18歳の素顔「友だちをうらやましいと思ったことも...」

◆Juju「18歳の素顔」プライベート姿をスタジオ撮り下ろし>>


【profile】
Juju 野田樹潤(のだ・じゅじゅ)
2006年2月2日生まれ、東京都出身・岡山県美作市育ち。元F1ドライバーの野田英樹の次女として生まれ、3歳からカートに乗る。9歳でフォーミュラカーを運転して非凡な才能を見せるも、国内の年齢制限によって上位カテゴリーへのステップアップが困難となり、2020年から家族とともにヨーロッパに渡ってレース経験を積む。2023年はF1の登竜門であるユーロフォーミュラオープンで女性初の優勝を飾り、ジノックスF2000では年間王者に輝く。2024年よりスーパーフォーミュラにTGM Grand Prixから参戦。身長170cm。

プロフィール

  • 吉田知弘

    吉田知弘 (よした・ともひろ)

    モータースポーツジャーナリスト。1984年12月19日生まれ、石川県出身。2011年よりスーパーGT、スーパーフォーミュラなど国内4輪レースを中心に取材。専門誌やweb媒体などで執筆中。日本モータースポーツ記者会所属。

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